ラグビーPRESSBACK NUMBER
ラグビーW杯名場面No.1はあの事件。
感動よりも「楽しさ」を感じた突破。
posted2020/04/06 11:30
text by
大友信彦Nobuhiko Otomo
photograph by
Getty Images
ナンバー創刊1000号、おめでとうございます。
僕が初めてナンバーに記事を書かせていただいたのは1985年の125号。特集は「豪球列伝」。表紙は郭泰源。僕は23歳でした。
その2年後の1987年に初めてのラグビーワールドカップが開催されます。僕が初めてラグビーワールドカップを現場で取材したのは1991年、イングランドを中心に欧州5カ国で開催された第2回大会でした。以来昨年の、列島を沸騰させた2019年日本大会まで、8大会、すべて開幕戦から決勝まで現地で取材することができました。何と幸せなことでしょう。機会を与えてくださった歴代のナンバー編集部のみなさん、東京中日スポーツのみなさん、ラグビーマガジンのみなさんはじめ、お世話になった記者、編集者、カメラマン、もろもろの関係者、そして送り出してくれた家族に改めて深く深く感謝します。
ということで、ナンバーを舞台に35年にわたってラグビーを見せていただいているのですが、そこで、いただいたお題「ナンバーワン」とは?
いろいろと考えてみました。
ナンバーワンはやっぱりW杯から選ぼう。
大学ラグビーなら1985年度の慶大の日本一、1987年度の雪の早明戦。
高校ラグビーなら2010年度の桐蔭学園vs.東福岡の死闘ドロー両者優勝。
社会人ラグビーなら1990年度、神戸製鋼が三洋電機を相手に決勝のロスタイムに劇的な逆転勝ちを飾ったミラクルトライ――(新日鉄釜石がV7を飾った1984年度の日本選手権も忘れられませんが、僕はまだ学生で、取材者ではなく、いちファンとして国立競技場のスタンドから見ていました……)。
こう書いているだけで、スタジアムで生で見た、いくつもの場面が鮮明によみがえってきます。これに順位づけするのは難しいなあ。実に難しい。ホントに難しい。「感動」や「意外性」で言ったら、他にもすごい試合はたくさんあります(女子ラグビー国内サーキット「太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ」の2017年入れ替え戦で、石見智翠館高校がニュージーランド代表を並べたセミプロチーム「ながとブルーエンジェルス」を破った試合は、知る人ぞ知る名勝負です)。
とはいえ、そもそも、お題は「ナンバーワン」です。ということは、やっぱり世界一を決めるワールドカップから選ぶべきではないのか。せっかくワールドカップを8大会も現場で取材させてもらえたのだから、やっぱりそうじゃないのか……と考えてみました。