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ラグビーW杯名場面No.1はあの事件。
感動よりも「楽しさ」を感じた突破。 

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大友信彦

大友信彦Nobuhiko Otomo

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photograph byGetty Images

posted2020/04/06 11:30

ラグビーW杯名場面No.1はあの事件。感動よりも「楽しさ」を感じた突破。<Number Web> photograph by Getty Images

破壊力抜群の突破で、対戦相手を恐怖に陥れたWTBジョナ・ロムー。「ザ・カーペット」と呼ばれるトライシーンは、今も語り継がれている。

「ブライトンの奇跡」の衝撃度。

 この大会でプーマスが、世界ラグビー伝統国の厚い壁を破ってみせたことは間違いなく8年後の、もうひとつの国の快挙につながりました。

 そう、南アフリカを撃破した2015年イングランド大会における日本代表の快進撃のことです。

 8強入りした2019年の戦いも興奮と歓喜の連続また連続でしたが、衝撃度というかびびり度というか、信じられない感覚、全身の血が逆流するような感覚は、ブライトンの奇跡と呼ばれ、ラグビーという競技の枠にとどまらず、世界スポーツ史上最大の番狂わせと謳われたこのエディー・ジャパンの勝利が上でした。

 後半ロスタイムの逆転、それも同点PGを拒んで逆転を狙いにいった末の歓喜のトライ……というストーリーも文句なし、最高でした。

W杯は決勝より準決勝が面白い?

 でも……読者のみなさんはあれ? と思っておられるかもしれませんね。いただいたお題は「ナンバーワン」なのに、実際にナンバーワンを決める決勝の場面がなかなか出てこない……。

 実は、ラグビーワールドカップには「決勝より準決勝が面白い」という法則があるのです。決勝に名勝負なし、とまで言ったら絶対に言い過ぎですが、準決勝では必ず名勝負が生まれる。1987年のフランス対オーストラリアはラグビー史上最高の試合とも呼ばれます(終了直前、フランスが自陣からカウンターアタックをかけ、パスをつないでつないで取り切ったFBセルジュ・ブランコ主将の決勝トライは、ラグビー史上最高にスリリングでエキサイティングなトライと呼ばれています!)。

 1999年の準決勝、フランスがオールブラックスを相手にこれまたスリリングなトライの連発で逆転勝ちした一戦は、2015年9月19日に日本が南アフリカを破るまで「ラグビーワールドカップ史上最大の番狂わせ」と呼ばれていました。

 記憶に新しい2019年大会も、エディー率いるイングランドが準決勝でオールブラックスを破った一戦はみなさん強く覚えているのではないでしょうか。

【次ページ】 映画でも描かれた歴史的勝利。

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