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スタミナ自慢のランナーが体験取材。
「油」を摂って3週間、代謝が劇的変化!

posted2020/03/27 18:00

 
スタミナ自慢のランナーが体験取材。「油」を摂って3週間、代謝が劇的変化!<Number Web> photograph by Yuki Suenaga

呼気ガスの成分を測定しながら走るライターの中島さん。

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中島英摩

中島英摩Emma Nakajima

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Yuki Suenaga

 発売中のNumberDo「ランニングを科学する」では、食事についても様々な知見を紹介している。分子栄養学、完全栄養食、そして「SleepLow食事法」。中でも注目なのが、「ランナー大実験! 油を意識すると『持久力』は向上するのか?」。

 この企画は3人のランナーが、3週間食生活などを変えることで、どれだけた持久力にまつわる数値がどれだけ変化するのかを検証したものだ。記事では3人の驚きの結果を比較して紹介しているが、今回は原稿執筆も担当したライターの中島英摩さんが、自身の試行錯誤の日々を振り返った。

 昨今、市民ランナーたちの話題の中心はシューズだ。ナイキの厚底シューズをはじめとしてテクノロジーの進化は著しく、日本でも大きなムーブメントが起きている。

 しかし、ランナーと「食」の関係は、意外と代わり映えがしない。レース前には「カーボローディング」と言う名目で好きな炭水化物をたっぷり食べ、運動後には筋肉の修復を心配してプロテインなどのたんぱく質を摂る。

 ランナーたちのダイエットと言えば、いまでも話題にのぼるのは糖質制限だ。「最近糖質控えてるんだよね~」と言ってビールをレモンサワーやハイボールに変えたり、シメの炭水化物やラーメンを我慢したりする。表示を見て、炭水化物やカロリーが低く、たんぱく質の多いものを選ぶ食生活は"ランナーあるある"だと思う。

 かく言う私もその1人で、一生懸命たんぱく質を摂り、夜は米やパスタなどの炭水化物を控える食生活を送ってきた。鶏肉の皮を外す、揚げ物の食べすぎはNG、ドレッシングはノンオイル。そうやって、油=太るものと思ってできるだけ避けてきた。

 そして長い距離のトレイルランニングを好み、何十時間も動き続けるからスタミナには自信があった。

 しかし、昨秋に久しぶりに出たフルマラソンで、まんまと「30kmの壁」に打ちのめされた。30kmどころか20km程度ですっかりスタミナ切れを起こし、思うように脚が動かず、ほとんど気力だけでゴールを目指した。ダイエットもカーボローディングも意味がなかったのか。

油=太ると思って避けていた。

 そんな時、Number Doの誌面で「油」について取材しないかという話が舞い込んできた。

「油……?」

 人間の三大栄養素は、糖質、たんぱく質、脂質。でもなぜかランナーたちの会話には糖質とたんぱく質しか登場しないし、私自身、脂質を意識したことはほとんどなかった。

 サッカーの長友佑都選手が専属シェフを付けて食事法を変えたという話は耳にしていたものの、脂質をエネルギー源となるように食生活を変える“ファットアダプテーション”には懐疑的だった。

 だって油ばかりそんなに食べられないし、かなり厳しい糖質制限をしなければいけないんでしょ?

 だが、専門家に話を聞くと、うまく油を摂取することで、ランニング中もエネルギー源として脂肪が使えるようになるらしい。走っても走っても落ちない、体にたっぷり蓄えた脂肪が燃焼できるようになるならば、それは夢のような話だ。

 本当にそんなことが起きるのか、自ら体を張って検証することにした。

【次ページ】 思いのほか使えていなかった脂肪。

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