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スタミナ自慢のランナーが体験取材。
「油」を摂って3週間、代謝が劇的変化! 

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中島英摩

中島英摩Emma Nakajima

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photograph byYuki Suenaga

posted2020/03/27 18:00

スタミナ自慢のランナーが体験取材。「油」を摂って3週間、代謝が劇的変化!<Number Web> photograph by Yuki Suenaga

呼気ガスの成分を測定しながら走るライターの中島さん。

糖質が意外に多いことに気づく。

 油と言っても様々で、肉、魚、液体の油だけでなく、牛乳やチーズ、大豆類にも含まれている。油を飲んだり塊肉を食べたり、ひとつの食材でたくさんの油を摂るのは無理があるわけで、色んなタイプの油を食事に取り入れた。

 始めは急に増えた油に身体が驚いてお腹を下したものの、徐々に慣れていくようになった。また、肌が荒れて吹き出物が出ることもあったが、これは油にばかり気を取られて、脂肪燃焼に欠かせないビタミンが不足していたためだったようで、いつもよりも野菜の量を増やすことで改善された。

 具体的には、ブロッコリー、トマト、アボカド、ゆで卵、鶏肉、チーズのサラダにオイルと塩、もしくはマヨネーズをかけて食べるのが主食。マヨネーズはほかのドレッシングよりも意外と糖質が少ない。あとは納豆や鯖缶なども多用した。

 炭水化物は主に昼食に摂り、食物繊維の多いもち麦などを選んだ。私はどうも朝食を食べないと力が出ないタイプらしく、朝はブラン系のパンとオイルをかけたサラダ、夜に食べ過ぎた翌朝はヨーグルトとバターコーヒーを飲んだ。

 糖質を控えて脂質を増やすために、食生活のなかの糖質も見直すことになった。糖質は、ごはん、パン、パスタだけではない。ジュースやお菓子はもちろんのこと、フルーツ、市販のドレッシング、ビールやチューハイなどのアルコール類も炭水化物が含まれていて糖質が高い。

「夕食にお米やパスタを食べないし……」という理由で、自分自身の食生活で糖質の摂取は少ない方だと思っていたが、意外なところにも糖質はたくさん含まれている。これまでずいぶん摂りすぎていたことに気付く。

 好き嫌いのない私にとって、油生活は好みの食材を組み合わせれば楽しむことができたが、大好きなビールと甘いものを我慢することだけは辛かった。飲み会の時にはできるだけセーブして、翌日の朝食で調整。「3週間だけ!」と言い聞かせて耐え抜いたが、最後の1週間はかなり気が緩んでしまった。

スピードばかり求めるランニングは封印!

 かなり頑張って食生活を変えたつもりだったが、体重はなかなか減らなかった。「脂肪を使えるようになる」ならば、どんどん痩せるものだと思っていたが、どういうことだろう。

 そして油生活に慣れると、次第にお腹が減りにくくなり間食もしなくなると聞いていたが、私はいつでもお腹が減っていてお菓子を食べたい欲に駆られていた。

 脂肪を使える身体になるためには、“ファットアダプテーション食事法”だけでなく、“ファットアダプテーション運動法”もセットで行う必要があることも忘れてはならない。脂肪を最も燃焼しているAeT値付近でのランニングがそれだ。

 足の速いランナーほど、速いペースで走りたがる。スピード練を好み、トラックに通い、ペース走も速く、ジョグさえも最後には追い込んで終わりたくなる。しかし、それらはほとんど糖質を使った運動で、身体は一向に脂質代謝を覚えてくれない。いくら走るのが速く心肺機能が高くても、持久力とは話が別なのだ。

 AeT値付近でのランニングとなると、私のペースはキロ6分40秒~7分だ。心拍は107~110が目安。正直なところゆっくりすぎて、走っている気がしない。心拍が上がってしまったら、歩いて心拍を下げてからリスタート。走って汗をかいてすっきりしたい気持ちを抑えて走るしかなかった。

 ペースが遅い分、いつもより距離が稼げなくても、ファットアダプテーション期は月間走行距離などという指標は諦めるか、運動時間を増やすほかない。私の場合は登山が趣味で、AeT値付近のペース・心拍に値するので、日頃のスピード練習は変えずに、リカバリージョグと週末ののんびり登山で脂質代謝を回す心拍110程度の低強度運動を取り入れた。

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