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五輪は延期でも練習難民は続く。
「選手である前に、社会の一員」
posted2020/03/26 11:50
text by
及川彩子Ayako Oikawa
photograph by
AFLO
五輪の歴史上、初の大会延期が決定した。
日本では変わらずに練習をできていた選手も多かったようだが、今回の新型コロナウイルスの影響で世界の多くの選手が練習環境がなくなったり、外出規制で練習ができない選手も多くなったりした。
連日、悲痛な声を上げる選手たちの声が届いたのか、延期が決まり、安堵している選手や関係者も多いのではないだろうか。
アメリカでは3月11日にNBA選手の感染が判明すると、NBAとNHLはリーグ中断、MLBは開幕延期をいち早く決め、練習場所も閉鎖した。また全米大学体育協会(NCAA)もリーグ中止を決定し、それに伴い、各大学の練習施設も閉鎖に追い込まれた。
サニブラウンも練習場所が閉鎖。
陸上のサニブラウンも練習場所がなくなった1人だ。
所属するフロリダ大学は新型コロナウイルスの影響で、3月上旬からオンラインでの授業への変更が決まっていた。スポーツ施設はかろうじて使用できていたが、3月11日を境にスポーツ施設が閉鎖に。
サニブラウンや練習パートナーは同じ市内にあるトラックを使って練習を再開。ウェイトトレーニングは、同大学のウェイトトレーナーの自宅倉庫を改造した場所で行っていた。しかし使用していたトラックも閉鎖され、「また練習場所がなくなっちゃいました」とサニブラウンは話していた。
結局、今週も使用可能な陸上競技場は見つからず、現在は大学敷地内の芝生などで練習を行っているが、サニブラウンと似たような状況の選手が世界中に溢れている。
使用していた施設が閉鎖されたアメリカの陸上選手は、広場や公園、海辺の砂場などで、工夫して練習を行っているが、ハンマー投、やり投などの投擲種目は、当然ながら公園などでは投げることができない。1、2週間であれば体幹トレーニングで凌ぐことができるが、収束の兆しが見えない状況に焦りを募らせている選手も多かった。