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スタミナ自慢のランナーが体験取材。
「油」を摂って3週間、代謝が劇的変化!
text by
中島英摩Emma Nakajima
photograph byYuki Suenaga
posted2020/03/27 18:00
呼気ガスの成分を測定しながら走るライターの中島さん。
走りながらの糖質代謝は限界がある。
昨秋走ったフルマラソンの記録は3時間27分。キロ4分50秒~4分55秒のペースだ。これと実験結果を照らし合わせると、キロ5分ペースで走っているときに必要な糖質量は1時間あたり355.9kcal。
同じペースでも後半は心拍数が上がることを考えると、さらに糖質を必要とするだろう。カーボローディングである程度蓄えられるとしても、私の補給は圧倒的に足りていなかったというわけだ。
フルマラソンにおけるペースの指標になると言われている「AT値」はキロ4分17秒ペースで、心拍数は141。昨秋からトレーニングを積んだ成果なのか、思ったよりもAT値が高いことに喜んだものの、そのペースで必要とする糖質量は1時間あたり495.36kcalだ。
ここからさらに記録を伸ばそうとしても、このままの代謝状況ではペースが上がるほど糖質代謝も上がり確実にエネルギーが枯渇していく。だからと言って、走りながらそんなにガツガツとカロリーの高いものを摂取できるはずもない。つまり、もう私に残された選択肢は、脂質代謝を上げる身体になるしかないということだ。
ここから3週間の「油優先生活」が始まった。
我慢したのはお酒とおやつ。
今回の測定で、ひとつ私が救われたことは「基礎代謝が高い」ということだ。安静時基礎代謝は1397kcalで、身長体重から割り出した予測値や同世代の女性よりも高い。極端に「食べない」といった誤った食事制限でダイエットすると、この数値が下回るらしい。
トレーナーからのアドバイスをもとに、私が実践した食生活におけるルールは以下のとおりだ。
・比較的基礎代謝が高いため、カロリー量は気にせず脂質をたくさん摂る
・アボカド、ナッツ、チーズ、バターなどの良質な脂質を意識して摂取する
・糖質は控えめ。ただし、食事量は減らさず糖質を控えた分のエネルギーを脂質で補う
・運動後はプロテインではなくMCTオイルなどの油を摂る
・間食は禁止
・夕食はできるだけ21時まで終える
・夕食から朝食までの時間をしっかり空ける(10~15時間)
どんな辛い食生活を強いられるかと思っていたが、「食べて良い」ことには安心した。腹が減っては戦ができぬ、ではないが、エネルギーが足りなければ、日々のトレーニングでいいパフォーマンスを発揮することができない。エネルギー量を満たすために、良質な脂質が摂れるあらゆる食材を探す生活が始まった。