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朝乃山の次の“突出者”は誰なのか。
史上初のデータと、多すぎる候補者。
posted2020/03/27 11:50
text by
西尾克洋Katsuhiro Nishio
photograph by
Kyodo News
コロナウイルスによる自粛要請を受ける形で無観客での開催に踏み切った大相撲大阪場所。
力士は体温を測定して毎日提出を義務づけられ、これにより場所中に千代丸をはじめ数名の力士が休場する非常事態の中、15日間感染者を出すことなく場所を終えた意味は大きいものだった。
その中でいつものように強さを示したのは、千秋楽で横綱同士の相星決戦を制した白鵬だった。
そして大事なのは、優勝を争ったのが横綱2人だったということだ。休場と出場を交互に繰り返しながらも序盤で負けが込まなければ優勝争いに絡む白鵬と、3場所連続途中休場しながらも背水の陣で挑んだ鶴竜。両者ともに全盛期の状態ではないが、引き出しの多さとここ一番の勝負強さで大関以下の力士を退け続けた。
1日なら勝てても、総合力では横綱。
毎日の取組という視点で見れば、つけいる隙が無い訳ではない。だが、15日間の成績をトータルで競うのが大相撲の本場所というものだ。
ワンマッチでは勝負になっても、毎日高いレベルを保ち、時には悪いなりに凌ぎ、時には形が悪くても攻め切ることができなければ、毎場所のように優勝争いに絡むことはできない。
初場所で神がかった土俵際での逆転を繰り返した徳勝龍が、上位総当たりの地位となった今場所で、金星こそあったものの4勝という結果だったことからも分かる。
それでは、大関以下の力士は現在どのような勢力図になるのだろうか。直近3場所で32勝という成績を残し、大関昇進を確実にした朝乃山が目を引くが、15日終わってみれば横綱が賜杯を抱いた今場所は、どのような構図だったのだろう。