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朝乃山の次の“突出者”は誰なのか。
史上初のデータと、多すぎる候補者。 

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西尾克洋

西尾克洋Katsuhiro Nishio

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photograph byKyodo News

posted2020/03/27 11:50

朝乃山の次の“突出者”は誰なのか。史上初のデータと、多すぎる候補者。<Number Web> photograph by Kyodo News

平幕から一気に大関まで駆け抜けた朝乃山(左)。その次を追う力士の候補は潤沢だが……。

突出した力士は不在、しかし高勝率。

 しかし、2019年にそういう力士はいなかった。

 大関獲りに成功した貴景勝は確かに優秀だったが、関脇には3場所しか在籍していないため、全体の勝率には大きく寄与していない。

 秋場所に優勝した御嶽海も51勝36敗3休ということで、前述の大関昇進力士たちほどの高水準ではない。関脇と小結を経験した力士すべての成績を見ても、9勝6敗ラインを超える力士はいなかった。

 その中で唯一傑出していたのが、11月場所で11勝4敗を記録した朝乃山だった、ということである。
では、この傾向は2020年も続いているのだろうか。そして、朝乃山が昇進するとこの傾向は変わるのだろうか。

複数回の勝ち越し経験者が大勢。

 まだ1月と3月の2場所ではあるが、関脇と小結の勝率は5割を下回っている。勝ち越しているのは朝乃山以外だと、春場所の正代のみだ。同じ総当たりの地位でも、三役で勝ち越すことはとりわけ難しい。唯一の例外は御嶽海だろう。

 2019年初場所以降で、関脇以下で上位総当たりの地位で複数勝ち越しているのは貴景勝・朝乃山・御嶽海以外にも遠藤(4回)、北勝富士(4回)、大栄翔(4回)、阿炎(3回)、隠岐の海(2回)、正代(2回)、玉鷲(2回)がいる。

 この期間にこの地位の力士の43%が勝ち越しているのだ。1993年について見てみると、40%、2011年は41%という値が出ている。

 前者は貴ノ浪と武蔵丸に加えて安芸ノ島、貴闘力、琴錦といった実力者が顔を揃え、後者は琴奨菊と稀勢の里に加えて鶴竜、豪栄道、栃煌山、豊ノ島がいる。

 彼らのような実力者が関脇で勝ち越しを重ねることによって、次代の大相撲を牽引する存在へ成長していく。そういう“過渡期”に多く発生する現象と言える。

【次ページ】 群雄割拠すぎて突出者が出ない。

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