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朝乃山の次の“突出者”は誰なのか。
史上初のデータと、多すぎる候補者。 

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西尾克洋

西尾克洋Katsuhiro Nishio

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photograph byKyodo News

posted2020/03/27 11:50

朝乃山の次の“突出者”は誰なのか。史上初のデータと、多すぎる候補者。<Number Web> photograph by Kyodo News

平幕から一気に大関まで駆け抜けた朝乃山(左)。その次を追う力士の候補は潤沢だが……。

大関より関脇小結の方が強い?

 2019年の統計を取ると、興味深いデータが出てきた。大関の勝率を、史上初めて関脇小結の勝率が上回ったのである。

 従来であれば、大関は関脇に対して5割5分、小結に対して6割、平幕には7割5分という高い勝率を残す、相撲界の顔というべき地位である。朝乃山の大関昇進も、千秋楽に勝ち越しの懸った貴景勝に勝利してようやく目が出るような責任ある立場だ。

 だが昨年は、栃ノ心と貴景勝、更には高安が陥落を経験したように、大関陣が怪我などの影響で振るわなかった。今もなお大関の地位を保っているのは貴景勝のみという非常事態で、栃ノ心と高安は平幕に地位を落とした。勢力図が明らかに変わってきている。

関脇小結の内実も異例。

 なお2019年の関脇小結の勝率はおよそ5割5分で、これは昭和33年以降であれば8位となる。高水準ではあるが、突出して高いという訳ではない。この内実についても、過去の事例と比べると少し様子が異なる。
これまで関脇小結の勝率が高水準だった時は、決まってこれを牽引する力士が存在し、彼らはその後大関に昇進していった。

 1985年であれば40勝20敗の大乃国と49勝23敗3休の北尾が大関に昇進しているし、1993年は58勝32敗の武蔵丸と42勝19敗の貴ノ浪が翌年早々に大関昇進を決めている。

 ほかにも2011年は44勝16敗の琴奨菊と50勝25敗の稀勢の里、1981年は琴風、2000年は魁皇といった具合である。

 つまり、大関に駆け上がっていく力士が関脇や小結を通過していく時期にあたることで、この高水準が成立しているということだ。

【次ページ】 突出した力士は不在、しかし高勝率。

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