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東京マラソンは勝敗の前にタイム!
大迫傑の2時間5分50秒は切れるのか。
posted2020/02/27 18:30
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph by
Yuki Suenaga
新型コロナウィルスが猛威を振るい、エリートランナーだけの出場になった東京マラソン。だが、レースそのものは、びわ湖毎日マラソンとともに東京五輪男子マラソンの最後の1枠が掛かった非常に重要な一戦であることに変わりはない。
最後の椅子は、どのように決まるのか。
日本陸連が出した東京五輪のマラソン男子の派遣設定記録は、2時間5分49秒だ。つまり、大迫傑が持つ2時間5分50秒を切ることである。これを達成した選手が3人目の代表選手になる。
該当者が出ない場合は、2018年のシカゴマラソンで2時間5分50秒を出し、2019年9月のMGCで3位に入った大迫傑(ナイキ)が日本代表に選出される。したがって、まずはこのタイムを打ち破ることが前提になる。
戦う相手は人ではなく、タイム。
昨年9月に行われたMGCと今回の東京マラソンの最大の違いは、勝負する相手だ。
前回は対人レースだった。上位2位以内に入れば出場内定を得られたので、タイムは関係なく、駆け引きしながら相手に勝つことに徹したレースになった。中村匠吾(富士通)は、終始冷静に状況を観察し、相手に勝つことに集中し、優勝した。
だが今回、戦うべき相手は人ではない。タイムになる。
2時間5分49秒をターゲットしたレースは、日本人選手にとって非常にレベルの高いものになる。設楽悠太(Honda)が当時の日本記録だった2時間6分11秒を出した時の5キロのラップタイムは14分57秒ペースだが、今回の記録を破るためには1キロ2分58秒、5キロごとのラップが14分54秒というペースが必要になる。
後半ペースが落ちることを考えれば、30キロまでは5キロのラップをだいたい14分45秒から14分54秒の間で走るイメージが必要になるだろう。