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東京マラソンは勝敗の前にタイム!
大迫傑の2時間5分50秒は切れるのか。 

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佐藤俊

佐藤俊Shun Sato

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photograph byYuki Suenaga

posted2020/02/27 18:30

東京マラソンは勝敗の前にタイム!大迫傑の2時間5分50秒は切れるのか。<Number Web> photograph by Yuki Suenaga

2019年の東京マラソンは極寒だった。タイムレースになる今回こそ、いいコンディションで走ってほしいものだ。

中心は大迫、設楽、井上か。

 では、最後の1席を獲得する選手は誰になるのか。

 大迫、設楽、井上大仁(MHPS)、橋本崚(GMO)、村山謙太(旭化成)、佐藤悠基(日清食品)、神野大地(セルソース)……。

 設楽は1月のニューイヤー駅伝を走り、さらに丸亀国際ハーフに出場し、熊日30キロでは優勝した。調子が読めない選手なので、なんとも言えないが、レースでコンディションを上げていく選手であり、そのピーキングは設楽選手しか分からない。

 前回のMGCでは自ら仕掛けて後半、落ちた展開を考えると、東京マラソンでも同じ戦術でいくのか。もうミスは許されないが、設楽の出方がレースの行方を左右することになるだろう。

 井上も有力だ。

 MGCでは27位と惨敗し、うつろな表情で会場を後にした。その後ナイキのシューズに変更し、走り込みを重視。ニューイヤー駅伝では4区(22.4キロ)を1時間3分57秒の区間新で走り、「走り込みとスピードが噛み合っている」と手応えを感じた。前回のMGCの悔しさを抱え、秘めたるものは持っている。今回、爆発する可能性は高い。

大迫だけが持つ2つの選択肢。

 大迫は、12月上旬から2月中旬までケニアで合宿を行った。1800mの高地で質の高い練習に取り組み、その間の1月にはドバイマラソンに出場。トレーニングの一環として挑み、25キロ地点、1時間14分18秒、ハーフは1時間2分43秒のタイムを残して棄権。

 そのままフルを走った際の推定記録は2時間5分24秒と自己ベストを26秒上回ることになる。ケニア合宿後、富津などの合宿で質量ともに豊富な練習をこなし、調整は万全だろう。

 加えて今回のレースは心理的にもポジティブに戦える。派遣設定タイムが破られなければ自らが代表権を獲得できるので相手を見ながら戦える。先頭集団にいることがベースになるが自分のペースで走り、タイムが破られそうなった時、切り替えて勝負に出ればいい。

 スピードは誰よりもあるし、自分の取り組みに対しては絶対的な自信とプライドを持つ。個人的には、大迫が一番、東京五輪の最後の椅子に近いところにいると思う。

【次ページ】 願わくば日本記録での決着を。

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