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東京マラソンは勝敗の前にタイム!
大迫傑の2時間5分50秒は切れるのか。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byYuki Suenaga
posted2020/02/27 18:30
2019年の東京マラソンは極寒だった。タイムレースになる今回こそ、いいコンディションで走ってほしいものだ。
ペースメーカーがタイムを作る。
ちなみに大迫が日本記録を出した時は、各5キロのラップが14分27秒から15分28秒の間で推移していいた。15分台に落ちたのは2回(5-10キロ、20-25キロ)だけで、25キロから30キロは14分27秒に戻し、30キロから35キロは14分31秒、35キロから40キロは14分42秒、最後の2.195キロは6分51秒で走り切っている。
派遣設定タイムを越えるには1キロ3分を切るペースで走り切らないといけないので、勇気を持って突っ込んだスピードで押していけるかどうか、選手の気持ちの強さが試される。
その背中を後押してくれるのが、ペースメーカーだ。
大阪国際女子マラソンでは、新谷仁美(積水化学)が12キロまでペースメーカーとなり、設定タイムよりもやや早いペースでレースを引っ張った、それが高速レースを生むことになり、松田瑞生(ダイハツ)が35秒も設定記録を越えるタイムを出し、3人目の代表候補に名乗りを上げた。
2時間2分台の選手も登場。
東京マラソンでは4人のケニア人選手と鎧坂哲哉(旭化成)がペースメーカーを務める。他にも、ペースメーカーのひとりであるルベン・キプロプ(ケニア)は昨年、2時間4分40秒をマークした高速ランナーだ。
さらに招待選手として、昨年の覇者・ビルハヌ・レゲセが出場する。昨年9月のベルリンマラソンでは2時間2分48秒のタイムで2位になり、好調だ。現段階では2時間2分台と2時間4分40秒から5分30秒をターゲットとするペースメーカーを置く予定になっているが、こうしたペースメーカーと世界トップレベルの選手に引っ張られ、レースは序盤から間違いなくハイスピードで動くだろう。
ペースメーカーは30キロまでだが、単独走になればあとはタイムとの戦いになる。だが2、3人の小集団走になれば、タイムを見ながらの駆け引きも必要になってくる。いずれにしても脚が消耗した状態ではタイムをブレイクすることはできない。
速いペースでレースが進む中、ついていけない選手は振り落されていくだろうが、その中でいかに自分の脚を使わず、終盤までレースを進めていけるか。スピードはもちろん、最後は脚の余裕度が勝敗の大きな分かれ目になると思われる。