濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
デビュー7連勝も悔し涙の負けず嫌い。
新鋭・ぱんちゃん璃奈の可能性は?
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byNorihiro Hashimoto
posted2020/02/14 20:00
祥子戦直後のぱんちゃん璃奈。ローキックを効果的に使い、離れても、接近戦でも強さを見せた。
「運動だけは、どれだけやっても飽きない」
他団体には同階級に強い選手が増えてきた。「KNOCK OUTに出る女子選手が増えてほしい」という言葉は中心選手としての自覚から出たものだろう。ただ「そのためには私が魅力的な選手にならなきゃいけない。他の選手に“ぱんちゃんと闘いたい”“ぱんちゃんに勝ちたい”と思わせないと」と続ける。
現在の格闘技界は、子供時代に格闘技を始め、ジュニア大会から活躍してきた選手が珍しくない。20歳をすぎて格闘技に初めて触れたぱんちゃんは異例だ。だからこそ急ぎ足で試合経験を積み、練習にものめり込む。
トレーニングは週6日、うち3日は1日2回。ムエタイの本場タイにも何度か渡っている。1日中練習に没頭できるのはよかったが、レベルアップするにつれて“女の子のお客さん”扱いでは満足できなくなった。
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STRUGGLEで鈴木会長にミットを持ってもらうほうが中身の濃い練習ができると感じて、今は「タイには試合後の休暇で行くくらい」だそうだ。
休暇でもタイに行くのはなぜかというと「(試合用ではなくとも)練習はしたいので。1週間、練習しないと気持ち悪いんです」。とにかく練習がしたいのである。
「運動だけは、どれだけやっても飽きないんです。休みたいという気持ちにならなくて。そこが自分の一番の長所じゃないかって思ってます」
プロデューサーは高評価。次戦はタイトルマッチへ!
山口プロデューサーは今回の試合について「ローに攻撃の的を絞れていたのは成長でしょう」と評価している。
次戦はタイトルマッチになりそうだ。それだけのレベルに達しているわけだが、ぱんちゃん本人だけが納得できていない。
自分に課したハードルの高さは、そのまま伸びしろでもある。焦りからくるオーバーワークさえ気を付ければ、彼女が自分の実力に納得できる日も遠からず来るだろう。その時こそ、KNOCK OUTというイベント自体も“過程”を終えることになる。