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厚底問題もスポーツ紙で理解できた。
元箱根ランナー記者の視点に注目!

posted2020/01/31 11:40

 
厚底問題もスポーツ紙で理解できた。元箱根ランナー記者の視点に注目!<Number Web> photograph by Kyodo News

世界陸連の指摘により、議論の対象となった厚底シューズ。スポーツ紙ならではの踏み込んだ記事が目に留まった。

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プチ鹿島

プチ鹿島Petit Kashima

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『幕尻20年ぶり下剋上 徳勝龍 涙のV』(スポーツニッポン)

『史上最大の下剋上 徳勝龍 涙!涙!!』(東京中日スポーツ)

 大相撲初場所は西前頭17枚目の徳勝龍が優勝。スポーツ新聞は5紙が一面で伝えた(1月27日)。その5紙すべての見出しに共通したキーワードは「下剋上」。

 テレビの解説でもお馴染み北の富士のコラムを掲載しているのは東京中日スポーツ。徳勝龍優勝で「ささやかな感動」と書きつつも見出しは「白鵬不在・・・番付っていったい何だ」。

《幕尻と大関が戦って、看板の大関が負けた。横綱を目指す力士が平幕に敗れる。いったい番付って何だ!ということになりはしまいか。》

 下剋上はなぜ起きたのか。

 スポーツ紙ではないが読み比べとしてこちらを紹介しておきたい。朝日新聞の竹園記者は「番付が全て」という角界だが、最近は下克上が珍しくないとして、要因は上位陣の稽古内容の様変わりだと書いた(1月27日)。

 古参の親方の話として、

「以前は下の者は、稽古場で横綱、大関にこてんぱんにやられて『最初からかなわない』と思って土俵に上がったが、今は思う存分力を出す。稽古場で怖さを植え付けられてないからね」

 効率を求めることが増えたことにより、本場所まで力を温存した稽古が増えた。これが下剋上の一つの要因という見方である。

さっさと決めてくれーい!

 さて1月のスポーツ紙は「下剋上」のように「なぜ?」「どうして?」を考える案件がまだあった。

「厚底シューズ」問題である。

『世界陸連 「厚底シューズ」使用禁止へ』(サンケイスポーツ1月16日)

《陸上の長距離で好記録が続出して注目されている米スポーツ用品大手ナイキの「厚底シューズ」が、世界陸連の新規則によって禁止されることになると複数の英メディアが報じた。》

 選手の反応も記事になった。

『厚底シューズ 大迫「さっさと決めてくれーい!」』(スポーツ報知1月17日)

【次ページ】 元箱根ランナー竹内記者のコラム。

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