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女子スケボーは五輪メダル確実!?
なぜ日本人選手はここまで強いのか。
text by
吉田佳央Yoshio Yoshida
photograph byYoshio Yoshida
posted2020/01/31 11:30
昨秋から岡本碧優がルーティーンに取り入れた“キックフリップインディー”。五輪本番で金メダルを獲得するにはさらなる難易度のトリック習得が不可欠だ。
ひたむきな日本人気質がライダーを強くした。
では他にどんなことが言えるのかと言うと、「日本人気質」という言葉がキーポイントになると言えるだろう。
「環境だけで言ったら、カリフォルニアの方が間違いなく良いでしょう。でも日本人にはそう言った環境の差をひっくり返すだけのひたむきさがあると思うんです。1つのことに対してストイックに追求していくという国民性が良い方向に向いているんじゃでしょうか」
と笹岡は語る。実際、彼や岡本が育ったスケートボードパーク「Hi-5」(愛知)など全国の多くの練習場は、個人が私財を投じて作り上げたものである。彼らの父親世代から脈々と受け継がれてきた「本場のスケートボードシーンを国内へと還元していく」という地道な積み重ねこそが、「世界で勝てる日本人の選手」を生み出す一助になったのではないか。そこに前述した、まだ発展途上であった女子パークシーンの世界的な状況も相まって、国際的に驚異的な強さを日本人選手が発揮する現状が生まれた……と言えるのではないだろうか。
世界的に急成長している女子パークシーン。
これまでの流れから考えると、女子パークでの日本勢の金メダル獲得の可能性はかなり高いと思うかもしれない。だが決して油断はできない。笹岡は現状をこう捉えている。
「ブラジルやカナダなどの強豪国を見ていると、そこの男子に付いてきている女子のスキルが急激に上昇しているんですよ。例えばブラジルにはペドロ・バロスという近年の世界のパークシーンをリードしているスケーターがいるんですが、彼と一緒に動いているインディアラやドラ、イサドラ・パチェコといったガールズスケーターは今じゃセミファイナル、ファイナルの常連になりつつあります。あとは今世界ランクが(岡本)碧優と(四十住)さくら次ぐ3位のスカイ・ブラウンも11歳になって急成長中です。碧優よりも2つ年下なので、今年はグンと成長して参戦してくるはずです。
なので去年までのコンテストでのスコアと順位を見れば、皆さんは碧優に関しては安泰かと思うかもしれませんが、自分は決してそうは思っていません。今までのさらに上をいくトリックを出さないと本番ではメダルに届かないと思ってます。この3~4年のリザルトを見ても、女子のパークは1年、いや数カ月で状況が一変するほど世界的に見ても大きな時代の変化の渦中にあって、急激にレベルが上がっているんですよ。今日本勢が強いのはその最初の流れにうまく乗れただけに過ぎないと思っています」