ラグビーPRESSBACK NUMBER
11万人以上が目撃したTL開幕戦。
W杯がラグビー界にもたらした変化。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byMatsuo.K/AFLO SPORT
posted2020/01/14 17:00
秩父宮ラグビー場はほぼ満員、駅やスタジアム入場には列ができていた。この状態をラグビー界の地力にしたい。
応援団に加え、子どもたちが急増。
事前のチケット販売が好調だったことから、各会場が観客で埋まるのは予想どおりである。前売りについては、'15年のW杯後の教訓が生かされた。各クラブの親会社向けの割り当てを減らし、一般向けの販売を増やしたことで、前売り券は完売なのに空席が発生した'15年当時の歪みを、あらかじめ回避することができていたのだ。
お客さんの数が増えただけではない。客層にも変化が見られた。
JリーグやバスケットボールBリーグに比べると部活生や女子中高生が少なく、しっとりとした大人が目に付くのがこれまでのトップリーグだった。かつてラグビーをやっていた、ラグビーにゆかりのある企業に勤めていた、いまも勤めている、といった立場の人とその家族や友人が、観客動員の支えになっていたと感じる。
バックスタンドに陣取る親会社の応援団も、社会人スポーツとしてのトップリーグの重要な一部分である。
そうした既存の支持層に加えて、子どもたちの来場が目立った。小学生かそれ以下の子どもを含むファミリーも見かけられた。これはもう、ラグビーW杯がもたらした変化だろう。
W杯の応援スタイルが逆輸入。
秩父宮での東芝対サントリー戦には、W杯で形作られた応援のスタイルも持ち込まれていた。リーチマイケルがボールを持つと、観衆が「リーーーーチ!」と声を上げる。自然発生的にスタンドを包み込む歓声は、東芝の試合の楽しみ方として定着していくだろう。
ピッチ上の風景も変わっている。
W杯優勝の南アフリカや大国ニュージーランド、オーストラリアやサモアなどからワールドクラスのプレーヤーが続々と来日したことで、リーグ全体のレベルは確実に押し上げられた印象だ。
ラグビーファンなら、どのチームにも観たい選手がいるだろう。にわかファンにとっては、名前を聞いたことのある選手が格段に見つけやすい。興味の入り口が広がった。