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11万人以上が目撃したTL開幕戦。
W杯がラグビー界にもたらした変化。 

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戸塚啓

戸塚啓Kei Totsuka

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photograph byMatsuo.K/AFLO SPORT

posted2020/01/14 17:00

11万人以上が目撃したTL開幕戦。W杯がラグビー界にもたらした変化。<Number Web> photograph by Matsuo.K/AFLO SPORT

秩父宮ラグビー場はほぼ満員、駅やスタジアム入場には列ができていた。この状態をラグビー界の地力にしたい。

「にわかファンを本当のファンに」

 ところで、ワールドクラスのスーパースターがやってくるのは、今回が初めてではない。だとすれば、リーグ全体のレベルが上がっているとの印象は、日本人選手にも理由を求めることができるだろう。

 2020シーズンの開幕カードを務めた日野の細谷直監督は、明確な使命を自らのチームに課していた。直近のシーズンは14位に低迷した日野と、同5位のNTTコムが対戦した一戦は、1万7000人を超える観衆のもとで行われた。

「W杯で日本代表が素晴らしい活躍を見せてくれて、昨日(1月11日)の大学選手権決勝も盛り上がりを見せました。そのバトンがトップリーグに来た、しっかりつなげていこうと、選手たちには話しました。

『日本でこんな試合が見られるんだ』と、ラグビーファンのハートに突き刺さる試合をする。にわかファンとも呼ばれている方々が本当のファンになってくれるために、こんな素晴らしいスポーツが行われているということを、知らせていく責任があるのだと感じています。今日のような盛り上がりを、この素晴らしいスタジアムの雰囲気を消さないようにしたい。観客が多いほうが、選手も力を発揮できますので」

流大「すごくありがたいです」

 日野対NTTコムに続いて開催された東芝対サントリーは、さらに多くの観衆を集めた。W杯でも活躍したサントリーの流大キャプテンは、「すごくありがたいです」と最初に感謝の気持ちを表し、次に選手としての責任を口にした。

「満員のスタジアムでプレーするのは、選手のモチベーションにつながります。トップリーグは色々な地域で試合が行われていくので、そういうところでもお客さんが入るように、エキサイティングな試合をする。レベルの高い試合を積み重ねていくことが、トップリーガーとして求められると思います」

 W杯をきっかけとした人気をブームでもフィーバーでもなく、一過性で終わらせないことは、ラグビー界に共通する思いである。トップリーグの盛り上がりをこのまま維持していくことは、検討中のプロ化への道筋を太くすることにもなる。

 それだけに、勝負のシーズンなのである。熱気に溢れた開幕節をスタンダードにできるかどうかが、ここから問われていく。

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