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箱根駅伝、区間エントリーの注目は?
復路の「7&8区」が重要なワケ。
text by
涌井健策(Number編集部)Kensaku Wakui
photograph byNanae Suzuki
posted2019/12/28 11:50
東海大を率いる両角速監督。2011年に母校の監督に就任、今回は連覇を狙う。
7区、8区に実力者を置いた青学。
その「先頭効果」を最大限に利用しつつ、さらなる戦略的潮流を生んだのが、'15年から4連覇した青学大である。
青学大は往路でトップに立ちつつも、7区と8区に強力なメンバーを配置してきた。青学大が起用した選手を'15年から順に見ていくと以下のようになっている。
7区:小椋裕介、小椋、田村和希、林奎介
8区:高橋宗司、下田裕太、下田、下田
小椋、田村、下田、林はタイム的にも当時のチームの中心選手であり、セオリーで言えば往路投入が予想される選手だった。そこをあえて原晋監督は復路の「つなぎ」と見られた区間で起用。選手たちはそれに見事に応え、4年間を通してみても'17年の7区・田村以外は全員が区間賞の走りで(これは快挙といっていいだろう)、この2区間で優勝を決めてきた。
この「先頭効果」と青学の連覇が強調した「7区&8区重視」で、復路での逆転が5年間もなかったのだ。
東海大の優勝も、復路の重要性を物語る。
だが、前回'19年に初優勝した東海大は、7区と8区の走りで逆転した。
7区では「黄金世代」と呼ばれる阪口竜平が区間歴代5位の走りで先頭の東洋大との差を1分つめ、8区・小松陽平が区間新記録の激走で見事に逆転。小松にはMVPにあたる金栗四三杯を授与されている。
東海大の両角監督は「先頭効果」の重要性を把握しつつも、往路優勝にこだわることなく、あくまで総合優勝を狙うために前年までの青学の戦略も踏まえて7、8区に強力な選手を配置した。
それまでのトレンドを踏まえつつ、新たな「優勝のかたち」を提示したのだ。このような配置ができたのも、選手層の厚さがあるからこそだろう。