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箱根駅伝、区間エントリーの注目は?
復路の「7&8区」が重要なワケ。
posted2019/12/28 11:50
text by
涌井健策(Number編集部)Kensaku Wakui
photograph by
Nanae Suzuki
明日12月29日に、第96回箱根駅伝の区間エントリーが発表される。
周知の通り、箱根駅伝はレース当日の選手変更も可能だ。優勝を狙う各大学は、ライバルの動向を探るために変更を多用してくるため、明日の時点で監督の戦略のすべてが明らかになるわけではない。
ただ、大まかなレースの青写真がここで明らかになるのは間違いない。
今回、注目をしているのが「7区&8区」を走る選手。それはこの区間が近年重要性を増しているからだ。
この2000年以降の20大会の順位変動を調べていくと、1月3日の「復路」で逆転が起こった大会は9回ある。逆転優勝を果たしたのは、'01年の順大、'02年&'03年&'05年&'08年の駒大、'06年の亜大、'11年の早大、'18年の青学大、そして'19年の東海大だ。
こう並べていって目につくのは、'00年代に優勝を重ねた駒大が復路で粘り強さを発揮していたこと、そして2012年~2017年まで6年連続で復路の首位交代が起こっていないということだ。
先頭を走ることのアドバンテージ。
ここでは、後者に注目してみたい。なぜ、2012年から5年間も復路での逆転優勝がおきなかったのか。
一言でいえば「先頭効果」だろう。
5区が現在より長い23.4kmだった'16年までは、山上りの重要性がより高かった。
'12年の東洋大・柏原竜二、'15年&'16年の青学大・神野大地という「山の神」だけでなく、'13年の日体大・服部翔大、'14年の東洋大・設楽啓太など、優勝した各大学はエースを惜しげもなく投入。彼らが5区で逆転し、または後続との差を広げて往路優勝のフィニッシュテープを切っていた。
そのことで6区以降の選手は「先頭」を走ることができる。あたりまえに聞こえるかもしれないが、その効果は思った以上に大きい。
俗に先導車と中継車という「風よけ」があるため走りやすいとも言われるが、それ以上に「前を追わなくていいため、序盤から突っ込んでオーバーペースに陥ることが少ない」というメリットがある。
要するに、「自分のペース」で、箱根駅伝でトップを走っているという高揚感を全身で味わいつつ、気持ちよく走れるのだ。