ワインとシエスタとフットボールとBACK NUMBER
E-1決勝戦後の記者会見を一挙掲載。
日韓両代表監督の「言葉」を比較する。
text by
田村修一Shuichi Tamura
photograph byKenzaburo Matsuoka/AFLO
posted2019/12/25 20:00
A代表と五輪代表という2つのチームの監督を任されている森保一監督。チーム全体と選手個人の成長を、どのバランスで取るのかが難しい。
選手交代に込められた監督の意図とは?
――試合の最後にイ・ジョンヒョプをクォン・キョンウォンに替えました。またアディショナルタイムに入ってからもボールをキープし粘ってCKを取りました。それらは勝利を得るために戦略として選手に指示したことですか。
「選手交代の瞬間についての質問か? 試合が始まる前に、リードをして勝利を得るためにアディショナルタイムでCKを得て時間を稼ぐこと……を考えられる能力なんてものはない。それは試合中に状況に応じて考えることだ。異なるそれぞれの瞬間に、チームを必要な方向へと導こうとするだけだ。
もちろんあの交代で狙ったのは守備の強化だった。5バックにしてピッチの横幅すべてをカバーする。そのうえでスピードのある選手をふたり前線に残した。私達が最後の瞬間におこなったこと――CKを得たのは小さなリードを守り抜くために、チームのほとんどが意図したことだ」
この大会に出場した選手はベストではなかった。
――今大会では代表歴が数回しかない新人もいましたし、長期離脱の後に復帰した選手もいました。大会を終えてその内容と結果を踏まえて、次の代表リストにはどんな影響がありますか。とりわけ3月26日のワールドカップ予選に向けてのリストですが。
「ふたつは異なる状況での異なる大会だ。だから何ができるかに関して単純な比較はできないし、この大会に呼んだ選手とワールドカップ予選に呼ぶ選手は同じではない。この大会はそれまでに呼んだことのない選手を見る機会として重要だった。まったくの新人を招集して間近で見られたのはとても有意義だった。もちろん優れたベースは維持し続けようとしたが、ベストの23人を集めて15日間活動しチームを作ることは不可能だった。
ただ、この選手たちともベースを維持できたのは重要なことだった。それがわれわれの戦略だ。これからは休養期間に入る。選手には休養は重要だ。われわれスタッフはヨーロッパでこれから少し仕事をする。もちろん3月に何ができるか今から考えるが、そこでのオプションは今回とは異なるし、もちろん大会も異なる」