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E-1決勝戦後の記者会見を一挙掲載。
日韓両代表監督の「言葉」を比較する。
posted2019/12/25 20:00
text by
田村修一Shuichi Tamura
photograph by
Kenzaburo Matsuoka/AFLO
韓国に敗れ、2年前の前回に続き準優勝に終わったE-1の男子日本代表。敗因についてはすでにあらかた出尽くしている感もあるが、日本代表と韓国代表のプレーの強度の違いは明らかだった。
2014年6月、ブラジルW杯初戦でのザックジャパンのコートジボワール戦しかり、今年初めのアジアカップ決勝しかり、日本は時にこういうミスマッチを犯す。コートジボワール戦の時は相手チームの監督も選手たちも、「日本戦が自分たちにとってのワールドカップ決勝だ」と何度も繰り返し言い続けていたし、アジアカップのカタール代表も同様で「日本との決勝は、カタールサッカーの歴史にとって最も重要な試合になる」と監督もキャプテンも前日の会見で語っていた。
森保もアジアカップの反省を踏まえて臨んだのだろうが……それでも十分ではなかった。これは戦術以前の問題である。
戦術だけを語るのであれば、フィリップ・トルシエのベトナムU-19代表が、影山ジャパンのサイド攻撃を完ぺきに封じ込めたように、韓国の両サイドを抑えこむことは十分に可能だった。コパアメリカのウルグアイ戦の時の森保ジャパンのインテンシティを発揮していれば、少なくとも互角の戦いはできていただろう。
そうしたことを踏まえて、以下に掲載する両チームの指揮官、森保一日本代表監督(51歳)とパウロ・ベント韓国代表監督(元ポルトガル代表選手/元ポルトガル代表監督/50歳)の試合後の会見を読んでいただきたい。短時間の質疑応答であるため、両監督ともにすべてを語っているわけではないが、彼らが語った言葉、語らなかった言葉から、何が問題であったかが浮き彫りになっている。
試合の“入り”で相手の圧力に押され……。
<森保一・日本代表監督会見>
――試合の総括からお願いします。
「まずはこのE-1選手権、優勝を目指して戦った中、残念ながらわれわれはタイトルに手が届きませんでした。韓国代表の選手・スタッフの皆さん、関係者の皆さんに、優勝おめでとうございますと私も言わなければならないと思います。
試合は、選手たちは準備のところから個々の差を出すという部分を考えながら、そしてチームコンセプトをどうやって連携・連動して繋げていくかというところで最善の準備をしてくれました。しかしながら試合の“入り”のところで、相手の圧力に押されてなかなか主導権を握れず先制点を許してしまい、相手に余裕を与えてしまったのは反省しなければいけないですし、今後の選手の成長・チームの成長に繋げていければなと思っています。
先制された後、時間がたつにつれて選手たちが落ち着きを取り戻して良さを出してくれました。最後まで勝ちにこだわって戦い抜いてくれたこと、勝つことはできませんでしたが、選手が粘り強く戦ってくれたことは選手に感謝したいです」