“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
J内定多数の明治大、自在の連動性。
「4年間という時間があってこそ」
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2019/12/21 18:00
2019年の大学サッカーを席巻した明治大。J内定の選手も数多く、ぜひ見ておきたいチームだ。
やっていても成熟度が高いと感じる。
選手個々の能力と役割、そして責任。戦術を通してそれらが繋がり合っている。関西学院大戦でハットトリックの佐藤凌もこう語る。
「2トップ(の仕事)は相手のラインを押し下げることと、斜めに入ったり上がってくる選手の選択肢を増やすこと。真ん中の三角形がうまく関わりつつ、サイドもいいタイミングで関わる。自分たちだけでなく、相手の動きを見てプレーを選択しています」
90分間で見せつけた成熟度の高さ。強さの源はJリーグ内定者が多くいるだけではない。積み上げられた伝統とともに、栗田監督の存在、そして監督の意図を理解して4年間を過ごしている選手たちがいるからだろう。
「やっている僕らも成熟度が高いと感じています。それはやっぱり、4年間という時間があってこそだと思います」
僕らにしかできないサッカーで3冠を。
森下は胸を張って、こう続けた。
「1年生の頃から『1人で2人を守れ』と言われてきました。細かいポジショニングまで考えて、組織的かつ献身的に守ることは、僕らの身体に染み付いたベースだと思います。今年、新たなやり方の中で、今まで学んできたことを応用する術を学び、磨けた。
明治大だからこそ、ここまでやれた。自信を持ってそう言えます。だからこそ僕らにしかできないサッカーで3冠を獲る。勝ってこそ評価されるので、僕らは結果を出し続ける義務があると思っています」
22日、決勝の相手は関東第2代表の桐蔭横浜大。関東大学リーグで対戦し、お互い手の内を知り尽くしている相手だ。この一戦に勝てば関東の大学で初となる3冠達成となる、ビッグマッチだ。
新しい風を受け入れ、成熟させたスタイルでサッカー部の歴史を塗り替えることができるか。
もちろん一発勝負ゆえ、結果は蓋を開けてみないと分からない。それでも、明治大のサッカースタイルは記憶の奥底に深く刻まれるに間違いない。