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J内定多数の明治大、自在の連動性。
「4年間という時間があってこそ」
 

text by

安藤隆人

安藤隆人Takahito Ando

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photograph byTakahito Ando

posted2019/12/21 18:00

J内定多数の明治大、自在の連動性。「4年間という時間があってこそ」<Number Web> photograph by Takahito Ando

2019年の大学サッカーを席巻した明治大。J内定の選手も数多く、ぜひ見ておきたいチームだ。

攻撃時にどんどん湧き出てくる。

 しかし、変幻自在な攻撃で3-1で前半を折り返したものの、後半に入って47分、53分と失点して同点に追いつかれる嫌な展開となった。

 すると直後の57分、栗田大輔監督が動いた。4年生CBの川上優樹と小野寺健也を投入と蓮川と中村帆を左右のサイドバック、森下と中村健を両サイドハーフに置き換え、4-4-2とした。

 この交代策には意図があった。関西学院大がポストプレーに秀でた1年生FW木村勇大、ドリブラーのFW山見大登を投入し、前線を3トップに変更した。それに対する守備の整備である。

 明治大にはビルドアップのアプローチやポジショニングに、絶対的なベースがある。

 混乱をきたすことなく対応できる――。絶対的な自信があったからこそのフォーメーション変更だった。

「対応策を4、5パターン考えていて、そのパターンの中で選択しました。4-4-2でも3-2-3-2的なビルドアップをしていこう、というのは常に言っていて、全員がイメージできています」

 選手が有機的に動くことで再びリズムを取り戻した明治大は、60分に狩土名に代えて10番を背負う小柏剛を投入する。その直後に小柏のラストパスから佐藤凌がハットトリック達成となる勝ち越しゴールを決める。

 70分に小野寺が追加点を奪い、80分には直前に投入された関東大学リーグMVP佐藤亮、その1分後にも小柏が立て続けにゴールを陥れ、ファイナリストとなった。

選手の力を生かすための3バック。

 明治大の3-2-3-2システムは今年から取り入れたものである。それまでは4-4-2がベースだったが、ある考えが指揮官の頭に浮かんだのだという。

「立ち上げの時から『中村帆高と森下龍矢、中村健人の能力を生かしたい』という思いがあり、3人同時にピッチに立たせて活かし合うにはどうしたらいいかを考えたんです。もともとウチはハイプレス、正確にビルドアップすることが前提にある。

 帆高と龍矢をウィングバックに置くなら、攻撃は激しく行って、守備も数的不利でもやりきらなければいけない。求められることが増えるから、育成的に見ても2人が伸びるのではないかと思ったんです。それに昨年は岩武(克弥)と上夷(克典)という絶対的な2人のCBがいた。そこが丸々抜けたので、3バックにした方がいいと思いましたし、常本のカバーリング能力を活かすために真ん中に置きました。

 2トップも相手が4バックの場合なら前線で2対2、3バックだとその間に入れる。その下に中村健人が1枚余ることで、彼の良さが一番出る。もし相手のボランチが健人を警戒して下がれは、うちのダブルボランチの前にスペースが生まれる。より安部と瀬古の力が発揮できると考えたんです」

【次ページ】 5年連続で総理大臣杯決勝進出。

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