“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
J内定多数の明治大、自在の連動性。
「4年間という時間があってこそ」
posted2019/12/21 18:00
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
Takahito Ando
大学サッカーにおいて今年度最後の大会となる全日本大学サッカー選手権大会(通称インカレ)。明治大は準決勝で関西学院大学(関西第2代表)を相手に7-3と大勝。総理大臣杯全日本サッカートーナメント、関東大学リーグに続く、「3冠」に王手をかけた。
関東大学リーグは3年ぶり5度目の栄冠だった。前後期制(2001年から)、そして12チーム参加になった2005年以降史上最多となる年間勝ち点56。3試合を残しての優勝とあって、まさに今年の大学サッカー界を席巻していると言っていい。
そのためインカレは、明治大の3冠達成か、もしくはどこの大学がそれを阻むかという図式でスタートしていた。
トップ下がアンカーの位置にまで。
2回戦・中京大(東海第3代表)に3-0で快勝、準々決勝で筑波大(関東第6代表)を1-0で振り切って迎えた関西学院大戦。
この試合の戦いぶりを見て、明治大の強さが理解できた。
ベースのフォーメーションは3-2-3-2。GKは愛媛FC内定の加藤大智が入り、3バックは中央の常本佳吾がバランスをとり、蓮川壮大と佐藤瑶大は積極的に攻撃参加する。ダブルボランチに安部柊斗(FC東京内定)と瀬古樹(横浜FC内定)、トップ下の中村健人(鹿児島ユナイテッド内定)、ウイングバックは左に森下龍矢(サガン鳥栖内定)、右に中村帆高(FC東京内定)。2トップには佐藤凌我と188cmの狩土名禅が並ぶ。
彼らの狙いは相手の背後とインサイドのスペースである。森下と中村帆がワイドに開くと、彼らと中村健人の間に、CBの蓮川と佐藤瑶が顔を出してボールを受ける。一方でダブルボランチはCBが上がったスペースをカバーする。
3バックの陣形が整っているときは、森下と中村帆がインサイドに絞る。中村健が前に押し出す形になって3トップ気味になったり、佐藤凌がポジションを下げて3-4-2-1のようになれば、狩土名のポストプレーによって飛び出してくる。
それどころか、トップ下の中村健がアンカーの位置にまで落ちて、ボランチの安部と瀬古が2シャドーのような高い位置を取ることもあった。
明治大の攻撃は“どんどん湧き出てくる”印象だ。相手ライン間のギャップ、裏のスペースに必ず誰かが入り込み、空いたスペースを近くの選手がカバーする。フォーメーションが変わっても、そのメカニズムが働いていることにも驚かされた。