“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
J内定多数の明治大、自在の連動性。
「4年間という時間があってこそ」
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2019/12/21 18:00
2019年の大学サッカーを席巻した明治大。J内定の選手も数多く、ぜひ見ておきたいチームだ。
5年連続で総理大臣杯決勝進出。
栗田監督は2015年の監督就任以降、5年連続で総理大臣杯で決勝進出(うち3回優勝)。明治大の躍進を支えてきた。戦力を最大限に活かす方法を持ちこんだのだ。
「2トップとトップ下、両ウイングバックが絞れば、4~5人で攻撃を構築できる。私は小学校時代、清水FC(静岡)で3-3-4の攻撃的システムをやっていたので、『いつかやりたいな』と思っていたことも影響しています」
彼らの連係を言葉に記すのは容易だが、実際にピッチ上で表現することは難しい。指導者の哲学と計算されたトレーニング、選手たちの能力と意識。どれか1つを欠いても実現できない。
「数字には出にくい部分ですが、僕らがサボったらチームが崩れる」
こう口にしたのは、左を預かる森下である。中央に選手が多く配置される分だけ、運動量と綿密なポジショニングが必要されるし、頭も身体もフル回転しなければならない役割だ。
引こうと思えば引ける。だけど。
「ワイドでもインサイドでも高い位置を取る分、守勢に回った瞬間はリスクが一気に高まります。なので、ボールがない時にどれだけ自分がリスクを消せるか。いかに的確なポジションを取れるかを心がけています。
攻撃面ではドリブルで仕掛けるか、パスで相手の目線を散らす。2つのタイミングを用意しています。佐藤亮か佐藤凌我を相手DFの間に立たせて、安部、蓮川と連動する。パスの出所を定めさせないように、相手の目線を散らします。そこで自分は一気に中央の裏を狙うのか、別の場所を狙うのかを変えていきます。
守備面では3バックなので、僕と帆高は引こうと思えば引けるんです。でもそれは好きじゃない。高い位置を取れるのはスペースを埋めつつ、個でも守れる安部と瀬古がいるから。むしろ僕が低い位置にいたら、安部が前に出て行くれんです。攻守どちらでもスペースを埋めてくれるダブルボランチは本当に凄いし、周りに恵まれています」