“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
青森山田サッカーに継承される覚悟。
連覇を予感させる「厳しくて当然」。
posted2019/12/06 08:00
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
Takahito Ando
「青森山田の門を叩くということは、相当な覚悟がいるんです。親元を離れることもそうですけど、サッカーのために、自分自身を強くするために絶対に中途半端に過ごしてはいけない重要な期間なんです。それにいざ青森山田に入ったら、周りはその覚悟を決めている選手たちばかり。シビアだけど、同じ方向を見た大事な仲間になるんです」
こう口にするのは青森山田高校OBで、全国高校サッカー選手権優勝などに貢献したMF郷家友太(現ヴィッセル神戸)だ。
青森山田は、高校選手権に23年連続で出場、そのうち優勝2回、準優勝1回。インターハイでの優勝1回に加え、ユース年代最高峰のリーグと称される高円宮杯プレミアリーグでは初年度(2011年)から参戦し、11月30日には高体連として史上初となる2度目のプレミアリーグEAST優勝を決めた。昨年まで4年連続で最終節まで優勝争いに絡み、2015年度は2位、2016年度は優勝、2017年度は3位、2018年度は2位という成績を収めており、今年度は最終節を待たずしての優勝決定だった。
12月15日には、こちらも高体連として史上初となる2度目のファイナル優勝を懸けてWEST王者の名古屋グランパスU-18と激突する。
また青森山田は、毎年のようにJリーガーも輩出し、柴崎岳と室屋成ら日本代表として活躍するOBもいる。今年も武田英寿(浦和レッズ内定)と古宿理久(横浜FC内定)の2人がプロ内定を勝ち取った。
青森山田に集まる「覚悟」。
地理的には決してアドバンテージがあるとは言えない青森山田が、なぜここまでの成績を残し、なおかつ多くのJリーガーを輩出することができているのか。その答えこそが、郷家の言葉に含まれていた「覚悟」であった。
郷家は東北随一の都市・仙台市生まれ。地元のベガルタ仙台ジュニアユースでメキメキと頭角を現した。しかし、「厳しい環境で、自分に足りない気持ちの部分や走力など、いろんなものを磨きたかった」とユース昇格ではなく、青森山田でチャレンジすることを決めた。
中3の途中で青森山田中に転入する際、彼の耳には反対する意見やネガティブな声が届いていた。
「ダメになっても、それはすべて自分の責任。周りがどうこうではなくて、自分が本気で覚悟ができているかどうかが重要でした。決して簡単な決断ではなかったし、周りの人に迷惑をかけてしまったかもしれないけど、チャレンジしないで後悔する方が嫌だった。青森山田での結果は自分の責任だと思って、すべてを受け入れるつもりで青森山田の門を叩きました」
中学生ながら難しい決断を自ら下し、不退転の覚悟を持って青森に渡った。