“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
青森山田サッカーに継承される覚悟。
連覇を予感させる「厳しくて当然」。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2019/12/06 08:00
高体連としては初となる2度目のプレミアリーグEAST優勝を果たした青森山田高校。選手権前の12月15日にWEST王者・名古屋U-18とのファイナルに挑む。
「這い上がってくる選手は強い」
仲間のために戦う。その気持ちがなければ、他のチームメイトの気持ちをも踏みにじってしまう。同時にそれぞれのカテゴリーで結果を残せば、上のカテゴリーに引き上げられる。
たとえばJ2レノファ山口で活躍するDF菊池流帆は、青森山田高のセレクションに落選するも、一般入試で入学し、一番下のカテゴリーから這い上がってきた経緯がある。黒田監督は菊池のような選手たちを多く見てきたからこそ、その覚悟に見合った厳しさを持って選手と接している。
「青森山田の理念として、24時間、365日をどう自分でコントロールするか。成長するためにその日々をどう過ごせるかをひたすら追求をしていく。だからと言ってサッカーだけをやっていればいいのではなく、勉強を含めて日常生活でどう意識づけをして行動していくか。そしてそれが最終的にサッカーの結果につながっていくということ。細部にまでこだわって、成長のための習慣づくりということをとことん徹底していく。我々、指導者はそれを選手たちが理解できるように理念や秩序、環境などを整えていくことが大事だと思います。
その中で這い上がってくる選手は強い。カテゴリーは違っても、みんなベクトルは上に向いているので、いい選手はどんどん上に引き上げていくし、選手たちも高い意識を持って日々を過ごしてくれている。何度も言いますが、厳しい環境の青森に自ら希望して来るわけですから、覚悟が違いますよ」
トップの練習を間近で見てきた藤原。
プレミアリーグEAST第17節、青森山田はアウェイで鹿島アントラーズユースと戦い、3-1で勝利をした。この試合後、選手たちにそれぞれ「覚悟」について話を聞くと、印象に残った言葉があった。
その言葉を発したのは、2年生CBとして守備を統率し、来年のキャプテン候補でもある藤原優大だ。すでにプロからも熱い視線を送られる藤原は地元・青森県の弘前市出身で、弘前のクラブチーム・リベロ津軽U-12から青森山田中の門を叩いた。
「リベロ津軽U-15も県内では強豪でした。(リベロ津軽に)残って全国大会を目指すか、青森山田中に行って全国制覇を目指すかの2択。残って仲間たちとサッカーをしたい気持ちはあったのですが、それだと全国に出ることが目標になってしまう。だから全国優勝を狙える青森山田中を選びました」
青森山田中のレベルは高く、さらに中学でレギュラーを取ったとしても、高校でトップチームのレギュラーになれる保証は一切ない。
「もちろん高校から入ってくる選手もかなりレベルが高い。そこでさらに厳しい競争が始まるのは理解していました。逆にそこまでの覚悟をしないと自分は強くなれないと思ってここに来ました」
中学時代から同じグラウンドで練習や試合をする高校生たちを見てきたという。そのレベルに驚きながらも、「必ずあの舞台に立つ」と明確な目標にしてイメージを膨らませながら、日々のトレーニングに励んだ。
結果、藤原は高校に上がるとすぐに試合に絡み、昨年の選手権優勝を1年生で唯一経験した。