Jをめぐる冒険BACK NUMBER
堂安律&久保建英か、それとも……。
五輪代表、2シャドーというパズル。
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byNaoki Nishimura/AFLO SPORT
posted2019/11/18 20:00
久保建英と堂安律。間違いなく個人能力が高い2人だ。ただし同じレフティー、突破型であることも念頭に置く必要がある。
思い出すジーコJの「黄金の4人」。
なぜ、そこまで堂安と久保にこだわったのか、なぜ、もっと早くメンバーを代えなかったのか。
A代表であり、欧州組である彼らは、この先、東京オリンピックまでにどれだけU-22日本代表に招集できるか分からない。そのため、前半は上田との、後半は小川航基との1トップ2シャドーの相性を、じっくり確認する必要があったのだろう。
好タレントを並べたところで機能しない――。そんな様子を見て思い出したのは、ジーコジャパンのことである。
中田英寿、中村俊輔、小野伸二、稲本潤一。
日韓ワールドカップ後の日本代表を彩った彼ら4人のMFは「黄金の4人」と呼ばれ、大きな期待を抱かせた。
だが、4人が並び立ったのは、ジャマイカ戦、ウルグアイ戦、チュニジア戦、ルーマニア戦、シンガポール戦のわずか5試合だった。小野や稲本が負傷離脱するうちに自然解消したわけだが、相性や組み合わせ、適材適所の問題をはらんでいたのも事実だ。
小川「連係、難しさはあった」。
ポジションも戦術もシステムも当時とはまるで違うが、堂安と久保の併用にも似た側面があるはずだ。ただでさえ代表チームは練習時間が限られるのだから、起用においては、戦術理解度と組み合わせが優先されるべきだろう。
「A代表に行っていた選手が3人くらいいて、3人が入ると、今までやってきたサッカーと少し変わってしまうところがある。その連係、難しさはあったと思います」
小川はそう振り返ったが、その言葉は、頷けるものだった。
このチームのポテンシャルを国内で示す機会を逃したのは残念だったが、失態を犯したのがこのタイミングで良かった。これがもしオリンピック本番の初戦だったら――と想像すると、ゾッとしてしまう。