Jをめぐる冒険BACK NUMBER
堂安律&久保建英か、それとも……。
五輪代表、2シャドーというパズル。
posted2019/11/18 20:00
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph by
Naoki Nishimura/AFLO SPORT
選手ひとりひとりのポテンシャルも、このチームが積み上げてきたものも、まるで出せなかった――。それが0-2で敗れたU-22コロンビア代表戦の率直な印象だ。
「東京五輪で金メダルを獲得するという目標は、私だけのものなのか、チームで共有しているものなのか」
あまりに不甲斐ない内容に、森保一監督は試合後、選手たちに問いかけた。実際、これまで何度もU-22日本代表の活動を取材してきたが、コロンビアが好チームだったことを差し引いても、ワーストに近い内容だった。
'17年12月にチームが立ち上げられて以来、11回目の活動にして初めて行なわれる国内での親善試合。堂安律、久保建英、板倉滉といったA代表組を招集し、森保一監督が「ベスト」と称したメンバーを揃えた。
'19年10月には敵地でU-22ブラジル代表を3-2で撃破してもいる。さらには、この日のスターティングラインナップに、堂安と久保の名前が記されていた――。
この試合に向けて期待が高まる理由は、いくつもあったのだ。
“ラボ”の象徴となった堂安と久保。
しかし、大きく膨らんだ期待は、あっけなく弾け散った。
「素晴らしい雰囲気を作ってもらったなか、勝たなければならないとプレッシャーになったのか、入りが硬くなってしまった」と指揮官はメンタル面の問題を嘆いたが、その一方で、“ラボ(=実験室)”の色が濃かったのも事実だ。
その最たる例が、堂安と久保の2シャドーでの同時起用である。
久保がこのチームに合流するのは'18年11月のUAE遠征、'19年3月のミャンマー遠征に続いて3度目。堂安にいたっては初めての合流で、チーム戦術への理解度や周りとの連係度は決して高くない。
しかもコロンビア戦に向けた合宿は11月11日の月曜からスタートしたが、欧州組であるふたりが練習に合流したのは13日の水曜から。久保は14日のサンフレッチェ広島との練習試合で約15分間だけピッチに立ったが、堂安は出場を見合わせている。
つまり、コロンビア戦はぶっつけ本番だったのだ。