プロ野球亭日乗BACK NUMBER
プレミア12決勝の前哨戦。手の内を
隠した韓国、データを集めた日本。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byNanae Suzuki
posted2019/11/17 12:40
韓国打線のデータ収集など、決勝に向けた役割をしっかりと果たした先発の岸。
8失点もある意味、計算済み。
結果的には先発の岸を含め繰り出した6投手が韓国打線に合計12安打を浴びて、8失点したが、その点もある意味、計算済み。
「もちろん抑えにはかかっているんですけど、あえて相手の強いところ、バットが出やすいところに投げて、どういう反応をするのかを確かめることもやっている。そういう意味では打たれたことはあまり問題ではない」(村田コーチ)
だから3回に6失点した場面では、岸がチェンジアップを狙い打たれたが、それでもチェンジアップを多投するなど、普段ではありえないような配球もこの日はありだった。
データ収集に岸は適役。
この韓国戦の先発に岸を送り出すことには、外野からは少なからず異論もあった。
ただ、例えば日本シリーズの初戦にベテランの制球力のある投手を送り出して、データと実際の打者の反応を探るというのは、短期決戦での1つの戦略でもある。
その観点からすると制球力のある岸を投げさせることは、データ収集という観点からすれば、決してムダではない、むしろ最も適役とも言える選択だった。
そしてバッテリーを会沢翼捕手(広島)と組んだことにも意味はある。
決勝戦で先発する山口俊投手(巨人)とは、今大会で2度の先発のいずれも同じ巨人の小林誠司捕手がコンビを組んできた。
しかし15日の練習でもわざわざ会沢が山口の球を受けていたし、打撃面を考慮すると決勝戦では会沢が先発マスクを被ることが有力。
そのためこの前哨戦でも、これまでパ・リーグの投手が投げる試合では同一リーグの甲斐拓也捕手がコンビを組んできたが、あえて会沢を先発起用したと推察できるのである。