フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
フランス杯優勝、コストルナヤが
説いた「4回転」に勝つ方法論。
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byJoosep Martinson-ISU/Getty Images
posted2019/11/06 11:50
シニアデビュー戦を勝利で飾ったコストルナヤ。平昌五輪金メダルのザギトワに20点近い差をつける圧勝だった。
すでに表現力もあるコストルナヤ。
コストルナヤは、先述の2人とは違って4回転ジャンプは持っていない。だが安定した3アクセルを跳ぶ選手である。
SPで降りた3アクセルは回転不足の判定を受けたものの、アリーナ・ザギトワもジャンプの回転不足が出たこともあり、SPから余裕でトップに立った。
そしてフリーでは2度の3アクセルを含む3回転を8度降りて、ほぼノーミスの演技を滑り切った。何より印象的だったのはジャンプよりも、長い腕を美しく使うこと。そして着氷の流れが途切れずによく滑ることだった。体こそ小さいものの、先の2人に比べると表現もすでにシニアで競っていく準備ができているように見えた。
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総合236.00のスコアは、スケートカナダで優勝したトゥルソワの241.02に次いで、今季の女子では2番目に高い。
「ここではクリーンな演技を見せることができて良かったです。でもこれからもっと、試合ごとに1つ1つの技を磨いていきたいです」とフリー後の会見で語った。
ジャンプミスで2位に終わったザギトワ。
一方コストルナヤの先輩にあたるアリーナ・ザギトワは、2位に終わった。
フリーでは冒頭の3ルッツが回転不足で両手をつくというミスがあり、後半の2度目の3ルッツに3ループをつけたものの、両方とも回転不足の判定を受けた。
17歳になった今のザギトワは、平昌オリンピック当時の彼女ではない。身長が伸びて女性らしい体型になり、演技の細部が丁寧になって貫禄を増してきた一方、その代償もある。ジャンプの踏切りに以前ほどのバネがなくなり、力を使って精いっぱい跳んでいるように見えることだ。
実際、フリーでは7回挑んだ3回転ジャンプのうち4度が回転不足と判定されている。それでも大きく崩れることなく全体をまとめたのは、さすがだった。