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フランス杯優勝、コストルナヤが
説いた「4回転」に勝つ方法論。 

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田村明子

田村明子Akiko Tamura

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photograph byJoosep Martinson-ISU/Getty Images

posted2019/11/06 11:50

フランス杯優勝、コストルナヤが説いた「4回転」に勝つ方法論。<Number Web> photograph by Joosep Martinson-ISU/Getty Images

シニアデビュー戦を勝利で飾ったコストルナヤ。平昌五輪金メダルのザギトワに20点近い差をつける圧勝だった。

「ルールで禁止されてしまって……」

 記者会見で、中央にコストルナヤが座り、向かって左側にザギトワが座った。

「今日の演技は普通。ノーマルでした。もちろんミスもあったけれど、氷の上に出て楽しむことが大事だったので、それはできたと思います」

 そう通訳を通して語ったザギトワはもちろん機嫌の良いはずもなく、それでもあからさまに不機嫌な表情を見せまいと自制している様子が見て取れた。

「私自身、ついこの前までジュニアから上がってきた若い選手の1人でした。以前はすべてのジャンプをプログラムの後半に入れていました。世界で初めて3ルッツ+3ループをプログラムの後半で成功させるという記録も作りました。

 今でもそれをやりたいけれど、ルールで禁止されてしまって……。なんて言って良いのかわかりません。若い子たちが4回転を跳んでいるのはすごいと思います。それだけです」

 会見で、今季ジュニアから上がってきた新人たちについて聞かれて、ザギトワはそう答えた。

「コストナーのやり方もある」とコストルナヤ。

 若手たちが大技のジャンプを跳び続ける限り、ベテラン勢に勝ち目はないのか。

 記者たちもどのように質問をして良いのか、微妙な空気が流れる会見場で、その場を和ませたのは意外なことにコストルナヤだった。やはり4回転を跳ぶライバルたちのことを聞かれると、こう答えたのだ。

「やり方は2つあります。今は11、12歳の少女たちも4回転を跳ぶようになってきてびっくりしているのですが、1つの方法は自分もそれをマスターすること。もう1つのやり方はカロリーナ・コストナーのやり方です。彼女は見ている観客の心に訴えかける演技をしました。彼女の見せる全ての動作が完璧でした」

【次ページ】 スケーティングの美しさと音楽表現。

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