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紀平梨花サイドも決意を新たに。
「五輪では4回転から逃げられない」
posted2019/11/10 09:00
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
AFLO
フィギュアスケートのグランプリシリーズは11月3日のフランス杯で全6戦中の半分が終わり、折り返しを迎えた。
ここまでを振り返れば、10月下旬の第2戦のスケートカナダで紀平梨花が試合を終えて漏らした感想、「ああ、新時代だなって」が象徴的だ。
ジュニアの頃から話題となってきたロシア勢がシニアに上がり、彼女たちの活躍は、まさに時代を変えようとしている。
グランプリシリーズ初戦、まず登場したのはアンナ・シェルバコワだった。15歳のシェルバコワは、フリーの冒頭で4回転ルッツ-3回転トウループを決めると、2つ目の4回転ルッツを成功させるなどして、ショートプログラム4位から逆転で優勝を果たしたのである。
続く第2戦に出場したのはこちらも15歳のアレクサンドラ・トゥルソワ。ショート3位で迎えたフリーの冒頭、4回転サルコウは転倒。だがその後、4回転ルッツを成功させると、4回転トウループ-3回転トウループの連続ジャンプ、後半には4回転トウループ-シングルオイラー-3回転サルコウに成功。計3本の4回転ジャンプに成功し、フリーでは166.62点の世界最高得点をマークし、優勝した。
昨年はトゥルシンバエワだけ。
第3戦のフランス大会でも優勝したのは、ロシアのシニアデビュー組の1人だった。16歳のアリョーナ・コストルナヤが4回転ジャンプはないものの、フリーで2つのトリプルアクセルを成功させるなどして、平昌五輪金メダルのアリーナ・ザギトワらを抑えて優勝したのである。
昨シーズン、女子のシニアで4回転ジャンプを成功させていたのは、エリザベート・トゥルシンバエワのみ。舞台は世界選手権だったが、シニアの大会では史上初の成功だったことからも、4回転の壁の高さが分かる。
ところがロシアの選手2名は難度の高い4回転ジャンプをやすやすと複数本、決めた。これまで女子では、3回転-3回転のジャンプが武器となっていたことを考えると、紀平の言葉の実感が伝わる。