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大隈重信とアメリカ大統領と始球式。
あの「空振り」は日本で始まった?
posted2019/10/31 19:00
text by
ナガオ勝司Katsushi Nagao
photograph by
AFLO
ワシントン・ナショナルズの本拠地ナショナルズ・パークは、アメリカ合衆国の首都ワシントン・コロンビア特別区の南に位置する。
米国議会からほぼ真南に2キロ前後の場所にあることを考えると、日本で言えば国会議事堂と東京タワーの位置関係に近いかも知れない。
2008年に同本拠地が誕生した当時は、地元の人々から「試合が終わったら、さっさと帰った方がいい」と忠告されるような地区だった。
しかし球場建設に端を発した町の再開発が成功した今では安全面での不安が一掃されたようで、ホテルやコンドミニアムだけではなく、レストランや高級スーパーまでが挙って進出する新興地域になっている。
「“首都のベースボール”と言えば、我々の時代はセネターズでしたが、今ではナショナルズがその座に君臨しています。ただし、ナショナルズが誕生したのは、彼らがモントリオールから移転した2005年なので、比較的最近のことなのです」
MLBネットワークでそう言ったのは、1980年代から1990年代にかけて米国のテレビ地上波における「ワールドシリーズ中継の顔」だった有名アナウンサーのボブ・コスタスだった。
歴代の大統領は始球式をやってきた。
コスタスは「セネターズとナショナルズは、実は無関係なのです」と言った。
1901年のアメリカン・リーグ発足時に誕生したセネターズが1960年を最後にミネソタに移転してツインズとなったことや、現在のナショナルズの前身が1969年に隣国カナダ初の大リーグ球団として誕生したモントリオール・エクスポズであることを丁寧に説明し、最後にこう言った。
「歴代の大統領は1910年以来、先代のバラク・オバマ大統領までずっと、どこかで始球式を行ってきましたし、まだやっていないドナルド・トランプ大統領もいずれ、どこかで始球式をやることになるでしょう」