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ドラフト指名を諦めかけた日も……。
杉山晃基の「直球」は呼ばれるか。
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永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph byRyotaro Nagata
posted2019/10/13 11:40
![ドラフト指名を諦めかけた日も……。杉山晃基の「直球」は呼ばれるか。<Number Web> photograph by Ryotaro Nagata](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/6/a/700/img_6a639f40b8ff47bf898ffd57798bcb8b120457.jpg)
快進撃を続ける創価大の三本柱の1人。悔しさを力に変えて磨いた直球は、プロの舞台で見ることはできるか。
情けなさで涙した大学選手権。
今年の6月10日、全日本大学選手権1回戦。大阪工大戦に先発した杉山晃基は、初回に盗塁を阻止しようとしたキャッチャーの2塁送球が背中に当たってしまうアクシデントに見舞われた。その後は痛みをこらえながら、なんとか7回110球まで投げきった。
ストレートの最速は149キロ。だが、ボールに力がない。なんとか変化球でかわせているが、そんなピッチングをする杉山がどこか寂しくも映った。
杉山がこのときを振り返る。
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「大事な大会の1回戦で(背中に)ボールが当たって、その後、痛みで全然投げれなくて、変化球ばかりの投球になってしまいました。結局、あの大会では満足いくボールが1球も投げられなくて……」
想いがこみ上げてきたのか、杉山は唇を噛んだ。
翌6月11日の東北福祉大戦では無念のブルペン待機。創価大で同じくドラフト候補の望月大希の好投もむなしく、チームは0-1で完封負けを喫した。思うような投球ができないまま大会を去る自分への情けなさで、試合後の杉山は目を腫らして泣いた。
侍JAPAN大学代表も落選。
さらに、杉山の気分を落ち込ませたのが4年間、とうとう声がかからなかった「侍JAPAN大学代表」である。かつては先輩の田中正義も通ったその道。この秋のドラフト会議に向け、自分の可能性を信じられなくもなっていた。
「(代表の落選は)だいぶ落ち込みましたね。昨年も高校で2つ下だった選手(三浦瑞樹/東北福祉大)が選ばれて、自分は行けなかった。そこはだいぶ気にしましたし、今年も(チームメイトの)望月が選ばれて、自分は選ばれなかった。(周りは自分に)こういう評価をしているんだなと、正直、落ち込みました」