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北ロンドンで燃える特別なダービー。
過去はアーセナル優勢、186回目は?
text by
粕谷秀樹Hideki Kasuya
photograph byGetty Images
posted2019/08/30 11:50
早くもチームで存在感を示している新戦力のニコラ・ぺぺ。鋭い仕掛けはトッテナム守備陣を大いに苦しめそうだ。
自滅するチームに苛立つ指揮官。
こうした状況に陥った場合、どのようにすればリカバリーできるか。
症状としてはトッテナムの方が重い。
チームの力量を踏まえた場合、ニューカッスル戦は3ポイントを取ってしかるべきだった。ところが先行された途端に焦り、イージーミスが目立つ。デル・アリとタンギ・ヌドンベレを負傷で欠き、クリスティアン・エリクセンとジョバニ・ロセルソを先発から外したために創造性を欠き、攻めが中央に偏り過ぎた。ポゼッション80%で枠内シュート3本というデータが、トッテナムの拙攻を如実に物語っている。
要するにニューカッスルが善戦健闘したわけではなく、トッテナムが自滅したにすぎない。着任後、公式戦500試合目を勝利で飾れると信じていたはずのマウリシオ・ポチェッティーノ監督も、試合後にフラストレーションを隠さなかった。
「すべてがうまくいかなかった。正当化できないパフォーマンスだ」
トッテナムDFに効きそうなニコラ・ぺぺ。
一方、アーセナルは1−3で敗れたとはいえ、相手がヨーロッパチャンピオンのリバプールなのだから、ある程度はあきらめもつく。ウナイ・エメリ監督はよく研究し、裏だけはとらせないような深めのブロックで応戦した。D・ルイスがきちんと対応さえしていれば、ひょっとすると1ポイントぐらいは持ち帰れたかもしれない。
だが、単発ではあったものの、ニコラ・ペペのカウンターには、リバプールが世界に誇るセンターバックのビルヒル・ファンダイクでさえ手を焼いていた。ペペのスピードに対応するため適度な間を開け、鋭い読み・予測で瞬く間に対応するあたりはさすがだったが、トッテナムにこの男はいない。
トビー・アルデルバイレルトとヤン・ベルトンゲンはスピードが低下してきた。ダビンソン・サンチェスは凄まじいばかりの運動能力を有しているが、状況判断が芳しくない。ペペのスピードは、リバプール戦以上に奏功するのではないだろうか。
しかもトッテナムは最終ラインの設定が常に高い。D・ルイスのロングフィードがペペに渡る。トッテナムGKユーゴ・ロリスと1対1……。十分に考えられるシーンだ。