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こじれたままのネイマール移籍問題。
バルサ、レアル、PSGの誰が得する?
posted2019/08/30 11:40
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph by
Uniphoto Press
ネイマールの移籍がスペインの夏を、再びこれほどまで賑わせるとは誰が予想したろう。
おまけに当初パリSGとバルセロナのチキンレース——どちらが相手の要望に屈するか——の様相を呈していた問題は、R・マドリーの参入により複雑化し、一時はスペインのベテランジャーナリストでさえ「どう収まるのか見当もつかない」と腕組みしていた。
そもそも、なぜこんな事態が生じたのか。事の起こりとされているのは2017年10月のネイマールの行動である。
「200%残る」と断言したクラブ役員や慰留する仲間を後目にパリSGへ去った2カ月後、ネイマールはバルサの練習場に突然現れた。そして、格別仲の良かったメッシやルイス・スアレスやピケを捕まえ、パリSGでの日々を語り聞かせる一方で、バルサでの日々を心から懐かしんだ。
このときからネイマール復帰を認め、期待する空気が“元チームメイト”たちに生じていたという。ネイマールの陽気で愉快な姿に惹かれつつ、稀代の才能にも一目置いていた彼らは、自分たちを置いて出ていくことを選んだネイマールの決断を受け入れたうえで、容赦していたのだ。
バルサ会長は一笑に付していた。
ネイマール自身も、時の経過に従いバルサ復帰を強く願うようになった。
メッシの影から出て完全なるエースとして君臨するためパリSGへ行ったが、ムバッペが邪魔をする。念願のバロンドール賞も近づくどころか離れていく……。
バルサにいた2016-17シーズンのパフォーマンスが反映された'17年は3位だったが、'18年は12位。FIFA年間最優秀選手に授けられるザ・ベスト賞も同様で、'17年は3位だが'18年は最終ノミネートからも外れている。
ネイマール本人から望郷の念を何度も伝えられたバルサの選手たちは、バルトメウ会長に再獲得を提案した。しかし、バルトメウは最初は一笑に付した。
守りもしなかった契約の延長ボーナス未払いで訴えている裏切り者を、なぜわざわざ買い戻さなければならない?