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水沼貴史が選ぶ一押しの海外組は?
「いい意味で森保監督を悩ませて」
text by
水沼貴史Takashi Mizunuma
photograph byGetty Images
posted2019/08/14 11:50
オランダでのデビュー戦でさっそく初ゴールの中村敬斗やマルセイユで主力の酒井宏樹。若手、中堅、ベテランともに海外組から目を離せない。
個人練習に付き合った乾の思い出。
一方、長らく海外生活を送っている選手の奮起にも注目したいです。
まず、久保建英の動向に注目が集まるスペインリーグですが、個人的には乾貴士に期待しています。新シーズンをエイバルで迎えることができたのはよかったのではないでしょうか。監督との信頼関係も彼にとっては大きいと思いますし、何より彼はニコニコしながらサッカーやっている時が一番輝いているのでね。
2007年、彼がマリノスに入団した時にちょうどコーチとして一緒に仕事をする機会がありました。よく彼の個人練習に付き合っていましたが、昔からファーストタッチへのこだわりは相当のものでした。
練習の合間にもリフティングからボールを高く蹴り上げて、落ちてきた瞬間にどう触って、どう止めて、どうドリブルに持ち込むか、みたいなことを自分のものにするまで徹底的に取り組んでいました。
事実、それが彼の最大の武器となっているところを見ると、実を結んでいるなと感心します。
本当にサッカーが好きなやつなので、慣れ親しんだエイバルで初心に返ってほしいなと思います。また、岡崎慎司(マラガ/2部)、香川真司(サラゴサ/2部)も新たなチャレンジとしてスペインへ移籍しました。自らが望んできたリーガ参戦なので、楽しんでやれたら良いですね。カテゴリーは違えど、同世代としてお互いが刺激しながら切磋琢磨してくれればいいなと思います。
武藤にとっては勝負の1年に。
昨季、乾らと同じようにやや不本意なシーズンを過ごした武藤嘉紀(ニューカッスル)にとっても今季は勝負の1年になるだろうと思います。彼本人も言ってましたが、昨季はプレーに制限が多かったので窮屈そうにプレーしていました。
今季は監督がラファエル・ベニテスからスティーブ・ブルースに変わったなかで、まずはコンスタントに試合に出ることが求められます。チームはホッフェンハイム(ドイツ)からジョエリントンというブラジル人の若手FWを獲得しており、その争いに勝つ、もしくはシステム内で共存できるような立ち位置に辿り着けるかがカギとなるでしょう。
彼の場合は動けるタイプなので、自由さえ与えられれば、しっかり準備をして、相手を混乱させるような動きで前線を活性化できる。そこからフリーになれたり、ゴール前に入っていく駆け引きができるようになればおもしろいですね。どこからでもゴールを狙えるシュート技術は持っていますから。