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メダルは1人だけなのにチーム戦?
五輪自転車ロードレースの独特さ。
posted2019/07/31 17:00
text by
杉園昌之Masayuki Sugizono
photograph by
Tokyo 2020
東京五輪を1年後に控え、自転車ロードレースのテスト大会が7月21日、東京、神奈川、山梨、静岡の1都3県にまたがる179キロのコースで開かれた。
本番は234キロのコースで行われるが、今回は富士山麓を通るルートはショートカット。それでも、最大斜度20%の三国峠など急勾配のある難コースに選手たちは四苦八苦していた。イタリア、フランス、イギリス、ベルギーなど強豪のナショナルチームで構成された先頭集団に終盤まで食らい付いた日本人選手は誰もいない。
優勝したイタリア代表のディエゴ・ウリッシ(UAEチームエミレーツ)から遅れること約10分後、日本人トップとなる岡篤志(宇都宮ブリッツェン)が15位でフィニッシュラインを通過した。
この湿度と気温だと五輪本番は……。
1980年代からヨーロッパの自転車ロードレース界で選手、監督として、数多くの経験を積んできたNIPPO・ヴィーニファンティーニの大門宏監督は、東京五輪のコースは想像以上に過酷だという。
「正直、完走するのも難しい。日本の選手がどこまで走れるか。しかも、夏時期(7月25日開催)の11時スタート。日本の湿度と気温を考えると、(テスト大会よりも距離が延びる)本番はもっと苦しむことになると思います」
武蔵野の森公園(東京)をスタートし、富士スピードウェイ(静岡)のゴールまでたどり着いた日本人選手たちの表情には疲労がにじんでいた。
今年5月、世界3大レースの1つであるジロ・デ・イタリアを完走した初山翔(NIPPO・ヴィーニファンティーニ)も、くたびれた様子で口を開いた。
「このコースの近く(神奈川県相模原市出身)に住んでいたからだいたい道は知っていたけど、かなりしんどかった。やっぱり、きついですね。厳しいコースと日本の競技レベルを考えれば、1人で勝負を狙いにいくのは現実的に難しい。ケース・バイ・ケースですが、2人(現在、日本は2枠)で出場するとしても互いに協力して走らないと」