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メダルは1人だけなのにチーム戦?
五輪自転車ロードレースの独特さ。
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![杉園昌之](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/6/3/-/img_63c0172edf1a3eec5d5017836b5eb9301895.jpg)
杉園昌之Masayuki Sugizono
photograph byTokyo 2020
posted2019/07/31 17:00
![メダルは1人だけなのにチーム戦?五輪自転車ロードレースの独特さ。<Number Web> photograph by Tokyo 2020](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/3/3/700/img_33a369631cef88ac9df60214482b830f152884.jpg)
一見個人での戦いに見えるが、チーム競技であるサイクルレース。そのルールの深みを知れば、ハマることは間違いない。
エースを勝たせるためのチーム競技。
自転車ロードレースは1人の選手が表彰される個人競技でありながら、実質はチーム競技。基本的に1人のエースを勝たせるために、ほかの選手たちは仕事をしていると言っても過言ではない。
エースを助ける選手たちはアシストと呼ばれ、前を走って風よけになり、チームカーから水と食料を運んだりもする。エースがパンクなどの不測の事態に見舞われれば、自らのホイールを差し出すことさえある。
テスト大会に出場していた日本人選手たちに聞くと、母国開催の五輪であっても、根本的にはチームで戦う精神は変わらないという。
国のレベルによって出場人数が変わる。
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世界的に広く知られるツール・ド・フランスなどのレースと五輪が異なるのは、1チームの出場人数が国のレベルによって変わること。
現在、ツール・ド・フランスは1チームごとに一律8人が出場。五輪は国際自転車競技連合(UCI)の定めた2019年10月22日付のワールドランキングに従い、エントリー数が決まる。
実質はチーム競技でありながら、最大5人出場する国もあれば、1人で戦う国もある。単純に出場人数が増えれば増えるほど、有利にレースを運べるが、現状、開催国の日本で出場できるのは2人のみとなっている。
2枠をかけた争いはし烈。どのサイクリストも母国開催の五輪に特別な思いを抱いている。
「自転車は五輪だけではないですが、オリンピアンは自転車選手の垣根を越えて、多くの人から応援されますからね。東京開催ですし、特別な思いはある」(初山)
テスト大会で日本人2位となった石橋学(チームブリヂストンサイクリング)は、野心を隠そうとはしない。
「五輪は世界的に注目されるイベント。自転車競技界にとってプラスだし、自分にもメリットがある。活躍すれば、活動の幅が広がってきます」