福西崇史の「考えるサッカー」BACK NUMBER
自信を得て、怖さも学んだ森保J。
福西崇史が指摘する「コパの教訓」。
posted2019/06/25 17:30
text by
福西崇史Takashi Fukunishi
photograph by
Getty Images
率直に言って、エクアドル戦は勝てただけに悔しい。
最後まで戦う姿勢を見せての1-1の引き分け。決勝トーナメントに進むためには勝つしかない状況だった。負けてはいないとはいえ、目標は達成できなかった。1点の重みを痛感する結果となりましたね。
日本はもちろん、エクアドルも勝てばグループステージ突破が決められることもあり、お互いに攻め合うオープンな展開になりました。
エクアドルは序盤から、日本のボール回しを分断するために前から積極的にプレッシャーをかけてきました。キックオフ直後はその狙いにハマってしまったけど、日本はコパ・アメリカという大会自体に慣れてきたこともあって、余裕を感じさせるプレーもありました。
徐々に相手が寄せてくるスピードやタイミングに慣れてくると、1つ、2つとパスを挟みながらエクアドルの陣形を揺さぶって縦パスを入れることができていた。
そういった狙いで相手の裏をかこうという意図が見えたし、先制点のシーンでは久保(建英)、中島(翔哉)とつないでから岡崎(慎司)が得意の裏抜けを見せた。その結果が、中島のゴールにつながりました。
連動性ある崩しは自信を持っていい。
それに加えて前半40分、抜け出した中島が最後にループシュートを放ったのも、日本の良さが出たシーンとして挙げたいです。GKの川島(永嗣)を使ったビルドアップから、冨安(健洋)が縦パスを入れてリズムを作る。そこで相手が食いついてきて、中島、柴崎(岳)がピッチ中央で細かくダイレクトパスを使って外したし、久保も前に走り出した中島を察知してダイレクトではたいた。こういった動き出しを連続して相手を崩せたのは、自信を持っていいことだと思います。
後方からのビルドアップで危ない場面があったのは確かだし、そこのミスは避けないといけない。とはいえ今回のコパ・アメリカだけではなく、森保一監督のもとでの日本代表は柴崎が最終ラインのポジションまで下りて後ろから組み立てるコンセプトでやっています。
前線からのプレスをかいくぐれれば2列目の中島、久保、三好(康児)がいい形でボールを受けて、ドリブルで相手をかわしつつ、相手のアタッキングサードに入りやすくなる。リスクはありましたがチャンスを多く作ったという意味では、狙いは出せたと思います。