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フェンシングは今が「史上最強」。
“疑わない”フルーレ男子の大復活。
posted2019/06/23 11:45
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph by
Kyodo News
これを「復活」と呼ばずして、何と言うべきか。
6月13日から18日まで千葉ポートアリーナで開催されたフェンシングアジア選手権。大会4日目の男子フルーレ団体日本代表チームが10年ぶりに勝ち取った優勝、“アジアナンバーワン”の称号は、まさにそう思わずにいられないほど、劇的な勝利だった。
優勝を決める最終ポイントを自ら決めた、主将の松山恭助は言った。
「今回のアジア選手権は、とてつもないプレッシャーでみんな戦っていました。準決勝の香港戦で負けていたら、おそらく僕たちの東京オリンピック出場の可能性は潰えていた。(ポイントが2倍になる)世界選手権で優勝すれば逆転は可能ですが、アジア選手権の準決勝で香港に負けているようでは世界選手権で優勝するのは不可能だった。その状況でも、みんなが自信を持って戦えたのが優勝につながったと思います」
松山の言葉は決して大げさではなく、東京五輪出場のためにアジア選手権は絶対に負けられない戦いだった。
18名の五輪出場を目指すために。
五輪出場の道は大きく分ければ2つ。団体で枠を取るか、個人で枠を取るか。
団体の場合は'20年4月4日の時点で世界ランク1位から4位の国に加え、アジア・オセアニア、ヨーロッパ、アメリカ、アフリカの各大陸枠で最上位のチーム、計8チームに出場権が与えられる。
団体枠を獲得すればその国から3名が個人出場枠を獲得し、団体枠を得ていない場合は各個人の世界ランクに基づき、団体と同様に各大陸別の上位1名(ヨーロッパとアジアは2名)、プラス大陸最終予選を勝ち抜いた4名、計34名がオリンピックに出場することができる。
日本には開催国枠があるが、それも8名に限られるため、全種目18名の出場を目指すべく、まずは各種目が団体での出場枠獲得を目指す。オリンピックレースが本格化する今季、掲げられた目標は明確だった。
実際に、団体で昨年のアジア大会も制し、3月のW杯でも史上初の優勝を飾った男子エペは5月のグランプリでも見延和靖が個人で優勝。同様に昨年のアジア大会を制し、世界ジュニア選手権でも史上初の銀メダルを獲得した女子フルーレ団体など躍進は著しい。
だがその一方で、歯がゆさと苦さを噛みしめて来たのが男子フルーレだ。