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ポルトガルとロナウドが初代王座。
白熱の欧州NL、日本でも放映を!
text by
井川洋一Yoichi Igawa
photograph byUniphoto Press
posted2019/06/10 17:30
初の欧州ネーションズリーグ王者となったポルトガル。ロナウドも大喜びだった。
ロナウドが語った“勝者の習慣”。
スコアレスのまま迎えた後半、ポルトガルはカウンターからチャンスを次々に生み出すと、そのまま完全に押し込み、連続でCKを得る。そして60分、SBラファエウ・ゲレイロとグエデス、シウバが左サイドを攻略すると、折り返されたボールに再びグエデス。右にフリーのC・ロナウドがいたものの、ボックス側で自ら右足を振り抜き、ボールはGKヤスパー・シレセンの手を弾いてネットを揺らした。
オランダはその5分後、ドニー・ファンデベークのクロスにメンフィス・デパイが完璧に頭を合わせたが、GKルイ・パトリシオの堅守に防がれる。終盤にはルーク・デヨングを投入して空中戦からの攻略も図ったが、MOMに選出されたルベン・ディアスの身を挺したディフェンスもあり、最後までゴールは遠かった。
最終的なスタッツは、シュート数19対5、枠内シュート7対1。ポゼッション率こそ劣ったものの、ポルトガルが優勝にふさわしいチームだった。
「ポルトガルの人々のサポートは信じられないほど大きなものだった」と優勝後に主将のC・ロナウドは語っている。
EURO2004でポルトガルが初めてメジャートーナメントを開催した時、決勝までたどり着きながらギリシャに屈して、人々は大きく落胆した。あの代表からの生き残りは、C・ロナウドただひとりだ。
「一度、トロフィーを獲れば、それは習慣になっていくものだ。このチームは大いなるポテンシャルを秘めており、さらに成長していくと確信している。今後もタイトルは増えていくさ」
ハイレベルな激闘を日本でも見たい。
EURO2004決勝で悔し涙を流したC・ロナウドは、EURO2016を制して嬉し泣きした。その3年後に新たな大会の初代王者になった時は、涙こそなかったものの、充実した表情には自身だけでなくチームへの確固たる自信が窺えた。
会場にはC・ロナウドのお面をしたポルトガル人が何人もいた。ピッチ上には本当の家族のようなチームが全員で穏やかに喜んでいる。欧州最西端の情緒あふれる国が、幸福で満たされている。
次回から、このハイレベルな激闘が日本でも放映されることを願う。