球体とリズムBACK NUMBER
ポルトガルとロナウドが初代王座。
白熱の欧州NL、日本でも放映を!
posted2019/06/10 17:30
text by
井川洋一Yoichi Igawa
photograph by
Uniphoto Press
ポルトの夜に、試合終了を告げる笛が高らかに鳴ると、会場のエスタディオ・ドラゴンを埋めた多くのポルトガル人たちが歓喜に沸いた。第1回UEFAネーションズリーグ決勝は、ポルトガルが1-0でオランダを下し、栄えある初代王者となった。
スタンドでは無数の国旗が揺れ、ピッチ上では選手たちがはしゃぐ。対照的に、敗れたオランダの面々はうつむいたり、悔しい表情を浮かべたりしている。そこには、ほかのメジャートーナメントとなんら変わりないファイナル後のシーンがあった。
今シーズンから始まった欧州の代表チームのリーグ戦、ネーションズリーグ。開幕前は大会の意義を疑問視する向きや、UEFAのさらなるコマーシャル主義と揶揄する声もあった。ただ捉え方はどうあれ、フレンドリーマッチにはない真剣勝負が繰り広げられたのは事実だ。
「素晴らしいトーナメントだ」とオランダのロナルド・クーマン監督は試合後に話した。「シーズンを振り返れば、それは明らかだ。ドイツ、フランスと同居したグループを勝ち抜き、その後、イングランドを下して、最後はポルトガルに敗れてしまった。この4カ国は欧州のトップレベルの代表チームだ。つまり、我々は極めてインテンシティの高い試合を戦って来たわけだ」
「今後さらなる発展を遂げるはず」
その後に登壇したポルトガルのフェルナンド・サントス監督も同調する。
「まだ始まったばかりの大会だが、今後、さらなる発展を遂げるはずだ。我々は初代覇者となり、歴史に名を刻んだ。とても嬉しい」
見るからに面倒見の良さそうな64歳の指揮官は、この日も照れ隠しのような渋い表情をたたえながら、記者たちの質問に答えていた。
人情味に溢れる好々爺は「この勝利は選手たちの奮闘と自信、情熱、クオリティ、そして能力によるものだ」と手柄をすべて手放したが、3年前のEUROに続いて母国の代表に2つ目のタイトルをもたらした優秀な戦術家である。ポルトガル代表のメジャータイトル制覇は、すべてこの人のもとで成し遂げられていることになる。