“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
好調札幌のキーマン、FW鈴木武蔵。
旧友と立った代表ピッチでも生き生き。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakuya Sugiyama
posted2019/03/26 07:00
3月22日のコロンビア戦では1トップとして先発出場し、決定機にも絡んだ鈴木武蔵。日本代表のFW争いに名乗りを上げる。
“アジアの大砲”高木監督による助言。
V・ファーレン長崎に完全移籍での加入をした昨年、一気にブレイクの時を迎える。
「94ジャパン」の同僚たちが続々代表入りする姿を力に変え、J1初参戦のチームにおいて1人、気を吐いた。
リーグ戦29試合に出場。プロ入り後、初の2桁得点となる11ゴールをマーク。これまでのキャリアハイが'14年の新潟での3ゴールということを考えると、まさに大ブレイクを果たした瞬間であった。
「高木さんにストライカーとしての要素をたくさん教わった」と語るように、かつて“アジアの大砲”と呼ばれ、日本代表を牽引するストライカーだった高木琢也監督の下で、ストライカーとしての心構えとゴールへの意欲、アプローチ、そして勝負所を徹底的に叩き込まれた。
特に目を引いたのが、ゴールに対して直線的にプレーすることが劇的に増えたことだ。
これまでは、サイドに膨らんでからカットイン、角度をつけてアプローチしていくことが多かったが、それだとシュートポイントに到達するまでに時間がかかり、DFの視野に入りやすかった。だが、長崎では膨らむことなく直線的なスプリントをすることにより、持ち味のスピードが生かされ、DFが置き去りにされるシーンを多く見るようになった。
「ゴールに直結するというか、なるべくペナルティーエリアの幅の中で動いて、自分が前向きの状況でゴールに向かえることを意識しています」
札幌への移籍、ミシャとの出会い。
チームは1年でJ2降格となってしまったが、この“必然のブレイク”が認められ、今季から札幌に完全移籍。第2節の浦和レッズ戦で挨拶代わりの2ゴールをたたき込むと、第3節の清水エスパルス戦でも1ゴール。好調ぶりを評価されてついにA代表に初選出されたのだった。
「高木さん、そして今年のミシャ(ペトロヴィッチ監督)さんの指導で色々学ばせてもらった。ミシャさんから『前の選手は我慢をしながら、味方がどこにボールを出すのかという次の展開を予測した上で動き出すように』といつも言われていますし、それは練習からかなり意識をしています。
起点になることも大事ですけど、常に相手の嫌なところを狙っていくことは意識しています。練習の時からどうやってゴールを取るかを考えているので、そこが試合でも出せれば、自ずと決定機はくると思っています」