“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
好調札幌のキーマン、FW鈴木武蔵。
旧友と立った代表ピッチでも生き生き。
posted2019/03/26 07:00
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
Takuya Sugiyama
いまや森保ジャパンの主軸として期待される中島翔哉、南野拓実、室屋成、さらにはロシアW杯のメンバーとなった植田直通。
この4人に共通することがある。
2011年のメキシコU-17W杯のベスト8メンバーであることだ。
当時の指揮官、吉武博文監督に率いられ、「94ジャパン」(1994年1月生まれ以降の選手による構成のため)と呼ばれたチームは、他を圧倒するポゼッションサッカーで旋風を巻き起こした。準々決勝ブラジル戦、2-3の大熱戦は記憶に残っている人も多いだろう。
当時のメンバーがまた1人、日本代表として名乗りを上げた。
コロンビアとボリビアと戦うキリンチャレンジカップのメンバーに選出された、北海道コンサドーレ札幌のFW鈴木武蔵である。
世界を困惑させたスピード。
話を'11年に戻そう。鈴木はメキシコU-17W杯では主に3トップの左、センターフォワードを任されていた。
「自分の特徴は走ること。中でもサイドでも前へ走って仕掛けることを意識しました」
途中出場をした初戦のジャマイカ戦では、爆発的なスピードと長い手足を生かした独特なリズムのドリブルで左サイドを何度も切り裂いた。
パスセンス、足元の技術に秀でた選手が揃う吉武ジャパンにおいて、鈴木の存在は異質だった。徹底したポゼッションを掲げるチームにおいて、彼のところにボールが渡ると、別のギアが入る。
グループリーグ第2戦のフランス戦でも左サイドで圧倒的な存在感を放つと、第3戦のアルゼンチン戦も相手DFが混乱に陥れ、3-1の快勝に大きく貢献した。大会を通じて、対戦相手は彼のところで急変する“リズムの変化”にかなり手を焼いていた。