“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
好調札幌のキーマン、FW鈴木武蔵。
旧友と立った代表ピッチでも生き生き。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakuya Sugiyama
posted2019/03/26 07:00
3月22日のコロンビア戦では1トップとして先発出場し、決定機にも絡んだ鈴木武蔵。日本代表のFW争いに名乗りを上げる。
手ごたえと課題を得たコロンビア戦。
代表デビューとなった3月22日のコロンビア戦。
鈴木は南野と2トップを組んでスタメン出場を果たした。左サイドハーフには中島が、右サイドバックには室屋がおり、「94ジャパンカルテット」がピッチ上に形成された。
10分、鈴木は縦パスを胸で収め、絶妙なタイミングで南野へ落とす。南野のシュートはGKに防がれるも、いきなりチャンスを演出。28分には中島のラストパスを受けて果敢にドリブルを仕掛けた。35分には正確なポストプレーでチャンスの起点を作り、続く37分には左サイドを突破した中島のクロスをファーサイドでダイビングヘッド。惜しくも枠をそれたが、ビッグチャンスに絡んだ。
「イメージ通りの抜け出しを出来たシーンもありました。札幌と同じような気持ちのバランスでやることが出来た」
初出場としては上出来の前半を終えたが、後半は思うように存在感を残せず、65分に香川真司との交代を告げられた。
「後半、自分たちの守備のギアが前半よりも落ちてしまって、相手に押し込まれる時間ができてしまった。もう1回前からプレッシャーかけて、そこではめて行ければよかった。向こうも前半から改善をしてきて、僕の脇でボランチが(ボールを)受けにきたので、徐々にズレが生じて、結構押し込まれる時間帯があった。そこは反省点としてやっていきたいし、改善をしていきたい」
手応えと課題の双方を手にした代表デビュー。だが、彼にとって忘れられない日になったことは間違いなかった。
「みんなとできる喜びを感じつつ」
「みんな(南野、中島、室屋ら)と16歳くらいから一緒にやってきて、同年代とまた代表で一緒にやれるということは嬉しい。やっぱりみんなそうやってすごく成長をしているし、ここからもっともっと僕らの世代が、翔哉とか拓実のように、日本代表の中心選手にもっと食い込んでいけたらなと思いました」
最後に「彼らにようやく追いつけたという感覚はありますか?」と問うと、彼はこう答えた。
「追いつけたという感覚よりも、こうしてみんなとできる喜びを感じつつ、僕もこの代表で中心選手になっていきたい」
ただ選ばれるだけではなく、不動の存在となるように。
メキシコで見せた躍動を、今度はフル代表のW杯で見せるべく、「遅れてきたストライカー」はこの日、大きな第一歩を踏み出した。