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アスリートの告白と勝利至上主義の影。
~千葉すずから池江璃花子へ、時代は変わったか~
posted2019/03/07 07:00

2018年アジア大会で6冠に輝いた池江。白血病公表は大きな衝撃だった。
text by

鷲田康Yasushi Washida
photograph by
Takao Fujita
スポーツにおいて、それほど勝つことが絶対的な価値なのか?
直近の日本のスポーツ界でこの問いの大きなメルクマールとなったのは、競泳元日本代表・千葉すずの発言と行動だった。
千葉は16歳でバルセロナ五輪日本代表となり200m自由形で6位に入賞。4年後の1996年にはメダルを期待されてアトランタ五輪に出場し、800mフリーリレーでは4位に入賞した。しかし直後に生出演した当時の人気ニュース番組「ニュースステーション」で、キャスターの久米宏氏との話は空回りするばかりだった。
「メダルを取れなくて残念」という口調の久米氏に、大会前から「オリンピックは楽しむために出る」と語ってきた千葉が猛反発。最後にこんな言葉が飛び出してしまった。
