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<若きエースに訪れた悲運>
池江璃花子「乗り越えられない壁はない」

posted2019/03/11 15:00

 
<若きエースに訪れた悲運>池江璃花子「乗り越えられない壁はない」<Number Web> photograph by Takao Fujita

日本女子競泳チームの若きエースとして、常に笑顔で仲間を鼓舞した。

text by

田坂友暁

田坂友暁Tomoaki Tasaka

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photograph by

Takao Fujita

 昨年のアジア大会で6冠とMVPを獲得。さらなる高みへと羽ばたこうという最中に、18歳の少女を突然の病が襲った。  競技、年代、国、あらゆる枠を超え寄せられる回復を願う声。  あらためて、いちアスリートとしての彼女の存在の稀有さに迫る。

 2月12日14時。池江璃花子(ルネサンス)はTwitterで、自身が白血病であることを公表。『私自身、未だに信じられず、混乱している状況です』と素直な気持ちを記した。

 池江の発表から2時間後、岸記念体育会館で行われた緊急記者会見では、池江を指導する三木二郎コーチも驚きと戸惑い、そして苦しみのなかにいた。彼の発した言葉には池江への尊敬の念と、応援し、支えたいという気持ちが表れていた。

「本人がいちばんショックだと思います。でも、この病気と闘っていくと決めたことによって、新たな池江璃花子がまた強くなって帰ってくると信じています。池江は『病気を治してまた二郎さんと練習できるように頑張りたい』と言っていました。それに応えられるように、自分には何ができるのかをしっかり考えていきたい」

 この記者会見以降、ファンだけではなく、多くの水泳選手、関係者はもちろん、他競技のトップアスリートやスポーツ以外の分野の著名人からも、池江への思いを綴る人たちがあとを絶たない。

 池江のライバルであり、100mバタフライの世界記録保持者であるサラ・ショーストロム(スウェーデン)も「私のすべての力と愛を送ります」とコメント。ショーストロムが池江をライバルと認め、高め合える選手であるからこそ出た言葉である。

 多くの声援を受け、あらためて池江は「神様は乗り越えられない試練は与えない、自分に乗り越えられない壁はないと思っています。もちろん、私にとって競泳人生は大切なものです。ですが今は、完治を目指し、焦らず、周りの方々に支えて頂きながら戦っていきたいと思います。(中略)改めて皆様のメッセージとご協力に心から感謝します。必ず戻ってきます」と綴った。

この記事は雑誌『Number』の掲載記事です。
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池江璃花子

水泳の前後のコラム

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