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「東京マラソンでサブスリー」への道。
セルフ・コーチングで行こう!
text by
柳橋閑Kan Yanagibashi
photograph byHiroki Ban
posted2019/03/01 07:00
アマチュアランナーの多くがセルフ・コーチングで頑張っているはず。この試行錯誤が少しでも多くの人に伝われば、と。
おじさんには「あと1~2kg」が厳しい!
もともと痩せ型の人にとっては何てことのない数字だろうが、食事も酒も甘いものも好きな肥満児あがりの中年にとって、あと1~2kgのダイエットは本当に難しい。過去いろんなダイエット本を読み、ちょっと減量してはリバウンドということを繰り返してきた。
ここ2年ほどはデイヴ・アスプリーという“バイオハッカー”が書いた『シリコンバレー式 自分を変える最強の食事』という本を参考に、脂質重視、糖質控えめの食事法を続けてきた。食材などは日本の食文化と合わない面があり、考え方だけ学んで、細かいことは自分なりにアレンジして採り入れている。健康にはいいような気がしているが、体重に関しては現状維持が精一杯だ。
ただ、運動能力を向上させることに比べれば、体重を減らすほうが中年ランナーにとっては実現の可能性が高いテーマといえる。たとえば、体重60kgのランナーが3時間走る場合、1kg体重が減るとタイムが4分縮むという研究結果もある。やらない手はないだろう。
そのために、古い体組成計をタニタの新しいものに買い替えることにした。最近のモデルは体重、体脂肪率、内臓脂肪レベルだけでなく、筋質や骨量など多岐にわたる項目が測れる上に、スマホともリンクしているので記録を付けやすい。ランニングの距離やタイム、心拍数などをGPSウォッチで計るのと同じで、数字によって体の状態を「見える化」してやれば、減量というネガティブな行為もゲーム感覚で楽しめるんじゃないか……と考えたまではよかった。でも、ぜんぜん減らないから楽しくないのだ、これが(苦笑)。
ちなみに、タニタの体組成計にはアスリートモードと一般モードがある。「おまえアスリートじゃないだろう」と思いつつ、練習量だけは多いので、迷った末にアスリートモードを選択。使い始めて2カ月。だいたい体脂肪率は6~8%で推移している(一般モードで計るより3%くらい低く出るようだ)。筋質点数は「高い」、推定骨量は「多い」と表示される。よくいえば、骨太で筋肉質の体ということなのだろうが、長距離ランナーとしては無駄な筋肉がついているともいえる。
まるで四輪駆動車のようなボディ!?
僕の場合、見た目的にもまわりのランナーに比べて腕、脚が太く、とくにふくらはぎはむやみに発達している。これはトレイルランニングでは役立っている気がするが、ロードランニングではただの重りにすぎない。
つまり、クルマにたとえるなら、僕の体は重たいラダーフレームで作られた四輪駆動車なのだと思う。積んでいる心臓は低回転・高トルクのディーゼルエンジン。それに対して、エリートランナーはいっさいの無駄を排したモノコックボディに、高回転・高出力の多気筒エンジンを積んだスポーツカーだ。
山道を粘り強く走るならともかく、ロードを高速で走るのにはまったく向いていないんだよなあ……と自分でも思う。体をまるごと買い替えたいぐらいだが、そういうわけにもいかない。それでも、何とかして昔ながらの四駆のような体を、いまどきのスポーティーなSUVくらいには改造したいところだ。あと少しパワー・ウエイト・レシオ(重量出力比)を上げられれば、フォームも自然に改善され、ランニングエコノミーに二重の効果が出るんじゃないかという気がする。